AI導入の現状と未来、開発にどう活かすか? エンジニアの声は?…TE Connectivityの独自リポートから見えてきたもの

TE Connectivity Japan 代表取締役社長 職務執行者 兼 日本/ASEAN地域 オートモーティブ事業本部 VP&GMの鶴山修司氏
TE Connectivity Japan 代表取締役社長 職務執行者 兼 日本/ASEAN地域 オートモーティブ事業本部 VP&GMの鶴山修司氏全 12 枚

自動車や産業、医療などの分野でデータ通信用コネクテッド製品を製造・販売するTE Connectivityが、年次独自調査報告書「インダストリアル・テクノロジー・インデックス(ITI)2025」を公開。その内容と同社の事業戦略発表の記者説明会を4月3日に開催した。

登壇したのはTE Connectivity Japan 代表取締役社長の鶴山修司氏、オートモーティブ事業部 技術・開発本部 統括部長の平泉善揚氏、事業開発担当 マネージャーの内野雅之氏。


AI導入の現状、日本は世界を牽引

中心となったのはITI(インダストリアル・テクノロジー・インデックス)の説明だ。ITIは、TE Connectivityが最新の技術テーマを取り上げ毎年作成しているリポート。先端技術を持つ同社は、常に時代を先取りするため世界のエンジニアに対してリサーチを行っている。調査は米国、中国、ドイツ、インド、日本の5カ国を対象とし各業界のエンジニアとエグゼクティブ1000名を対象に実施したもの。2025年版のテーマはAI。開発の分野でAIはどのように活用され、またどの程度まで拡大しているのか解説した。

各国のAI導入温度差、AI導入の最適化、AIトレーニングの必要性、AIのエンジニア人材獲得、持続可能性への挑戦、持続可能性の課題を打破、未来への道筋といった項目で順に説明が進められていく。話題になることも多いAIだが開発の現場ではまだまだ導入が十分に進んでいないことが示された。日本ではある程度導入している=75%、広範囲に導入している=31%となっている。

「世界的に見ると69%の企業がAI技術をある程度導入しています、また22%は広範囲にAIを活用していることがリサーチからわかりました。この数字からも日本がAI導入では世界を牽引していることがわかってきたのです」(鶴山氏)

一方でAI導入の事例についても紹介。一般的にAIは先進的な分野に用いられているイメージがあるが、実際にはデータ分析はもちろん、エネルギー事業における需要予測、製造業では施設のトラブル検知、さらに自動車業界では車両開発、設計の分野にまでその利用範囲がすでに広がっているという。

「クルマに関して言えば目に見える先進機能のみならず、安心してクルマに乗れる現状の裏側にはAIによる技術開発があります。AIはすでに各事業分野の中で重要な役目を担っているのです」(鶴山氏)

実際に同社が設計・製造の現場でAIを活用している例も挙げられた。そのひとつが成形品を製造する場合の事例だ。金型製造、金型のゲートをどこに設定するか、さらにはインジェクションマシンの選定など、製造上の最適化のための項目は多い。しかしビッグデータを蓄積したAIであれば統合的に金型設計をAIが導き出してくれるのだ。コネクター製造時のプラスチックの歪みなどまでAIによって計算することで、型の修正を最小限に抑えることができるという。ここでもすでにAIの知見が生かされている。

AIは驚異か共存か? トレーニング不足が課題に

AIによるメリットは多いが、先述のとおり導入はまだ道半ばだ。その理由のひとつを、ITIではトレーニング不足だと分析している。エンジニア側の関心は高いものの、十分なAI技術のトレーニング環境を整えていない企業は調査対象国の実に42%の企業にのぼっている。企業は短期的な利益確保を優先し、AIトレーニングが後回しにされている実態も浮き彫りになった。


《土田康弘》

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