日産自動車は5月13日、2025年3月期(2024年度)通期連結決算を発表した。売上高はほぼ横ばいとなったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は1兆0975億円のマイナスで6709億円の純損失を計上した。カルロス・ゴーンが日産に入社した1999年度の当期純利益が6843億6300万円の純損だった。
●販売パフォーマンスが減益の大きな要因
2024年度の売上高は前年から525億円(0.4%)減少し、12兆6332億1400万円となった。営業利益は前年度比4989億円(87.7%)減の697億9800万円となり、販売台数の減少、販売奨励金の増加、インフレーションが利益を圧迫した。売上高営業利益率は0.6%(前期比3.9ポイント減)に低下した。経常利益は2102億円(同70.1%減)、当期純利益は6708億9800万円の純損失を計上した。
グローバルの小売販売台数は334万6000台にとどまり、販売競争の激化が影響した。自動車事業単体では2159億円の営業損失を記録した。販売パフォーマンス(台数、構成、販売費用、価格改定など)が2999億のマイナスで、減益の大きな要因となっている。
●2025年度の業績見通しは未定
2026年3月期(2025年4月1日~26年3月31日)の連結業績予想は、売上高を12兆5000億円(前期比0.1%減)とした。小売販売台数は、関税の影響を除いてグローバルで325万台(同2.9%減)を見込む。市場別では中国が同18.2%減、中国除く地域は合計で同1.1%増を想定する。
いっぽう営業利益および当期純利益の通期予想は、関税政策の不確実性から未定とし、合理的算定が可能となり次第、公表する。ものづくりコスト削減策により1600億円のコスト低減を図り、損益分岐点到達をめざすという(関税の影響を除く)。

●米国関税の影響は最大で4500億円
日産の米国への輸出はメキシコから約30万台、日本から約12万台で、日産の全米販売台数の約45%が関税の対象になる。日産では、関税軽減策をしない場合の影響額は、最大で4500億円と試算する。
日産は対策として、米国生産車両の優先販売、現地生産の最適化、影響を受ける生産の再配分、サプライヤーとの現地化推進を積極的に進める。第1四半期で約30%の軽減を見込む。
