6.9リットルV8を搭載した「世界最速のサルーン」、メルセデスベンツ『450 SEL 6.9』が誕生50年

メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」
メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」全 8 枚

メルセデスベンツの伝説的高級サルーン「450 SEL 6.9」が誕生から50年を迎えた。1975年5月に発表された『Sクラス』の最上位モデルは、当時「世界最高の車」「世界最速のサルーン」といった見出しで称賛され、自動車史に残る名車となった。

誕生50年を迎えた「世界最速のサルーン」450 SEL 6.9

450 SEL 6.9は、初めて「Sクラス」の名を冠したメルセデスベンツの116型シリーズの最上位モデルとして登場した。その名前の由来となった排気量6834ccのV8エンジンは、210kW(286hp)の出力と550Nmのトルクを発生。当時としては驚異的な性能を誇り、最高速度225km/h、0-100km/h加速は7.4秒を記録した。この加速性能は当時、強力なスポーツカーにしか見られないものだった。

メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」

標準装備も充実していた。エアコン、集中ドアロック、クルーズコントロール、パワーウィンドウ、ヘッドライト洗浄システム、ベロア内装、前後席の慣性リール式シートベルトなど、1975年当時の他の車種では決して標準装備ではなかった機能が含まれていた。

車体は100mm延長されたロングホイールベース仕様のみが用意され、後部座席の広さも特徴だった。当時の価格表によると、基本価格は6万9930マルクで、同シリーズのエントリーモデル「280 SEL」の2倍以上の価格設定だった。

外観上の特徴としては、グリル下部の三日月型エアディフレクター、215/70VR14の幅広タイヤ、そして大型デュアルエキゾーストパイプが挙げられる。

メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」

サスペンションには、従来の空気式ではなく、油圧レベルコントロール付きの油圧空気式サスペンションを採用。これにより車高が常に一定に保たれ、常にフルストロークが利用可能となった。

メンテナンス面でも先進的で、油圧バルブクリアランス調整機構により後調整が不要となり、新開発のシリンダーヘッドガスケットによりシリンダーヘッドの再締め付けも不要になった。ドライサンプ潤滑方式により、エンジンをより低い位置に配置でき、オイル交換間隔も1万5000kmに延長された。

メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」

1975年2月から1980年9月までの間に、7380台が生産された。当時のF1チャンピオンを含む多くの著名人がプライベートカーとしてこのモデルを選んだことも、その卓越性を物語っている。

メルセデスベンツはこの450 SEL 6.9の純正スペアパーツを現在も「豊富に在庫している」という。エアコンオン/オフスイッチからステアリングボックスアセンブリまで、あらゆるスペアパーツを用意するほか、エンジンオーバーホール用の主要部品も入手可能で再生産もおこなわれているという。

メルセデスベンツ「450 SEL 6.9」の純正スペアパーツメルセデスベンツ「450 SEL 6.9」の純正スペアパーツ

《森脇稔》

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