ランチアが20年ぶりレース復帰、伝説の「タルガ・フローリオ」を新型『イプシロン』が駆けた

「トロフェオ・ランチア」の初戦「タルガ・フローリオ」でのランチア・イプシロン・ラリー4 HF
「トロフェオ・ランチア」の初戦「タルガ・フローリオ」でのランチア・イプシロン・ラリー4 HF全 5 枚

ランチアは、イタリア・シチリア島で開催された伝説的な「タルガ・フローリオ」ラリーで20年ぶりのレース復帰を果たした。この大会は第109回タルガ・フローリオの一環として開催され、イタリア・ラリー選手権(CIAR SPARCO)の第3戦でもある。

マドニエ山脈の難コースで行われた今大会には、過去最多となる79チームが参戦。その中でも注目を集めたのが、新設された「トロフェオ・ランチア」の初戦だ。このワンメイクカップには19チームが参加し、そのうち13チームがアンダー35のドライバーで構成されていた。優勝者には2026年の欧州ラリー選手権(ERC)でのランチア公式チーム参戦権が与えられる。

初戦を制したのはジャナンドレア・ピサーニとコ・ドライバーのニコラ・ビアージのペア。1時間に及ぶ激しいレースの末、ダヴィデ・ペサヴェントとアレッサンドロ・ミケレットのペアをわずか4秒差で下した。この勝利により、ピサーニはマスターカテゴリーでも優勝を果たし、選手権首位に立った。

「トロフェオ・ランチア」の初戦「タルガ・フローリオ」でのランチア・イプシロン・ラリー4 HF「トロフェオ・ランチア」の初戦「タルガ・フローリオ」でのランチア・イプシロン・ラリー4 HF

今大会で使用された新型『イプシロン・ラリー4 HF』は、その優れた走行性能で参加者を魅了した。212hpを発揮する1.2リッターターボエンジンを搭載し、軽量かつ剛性の高いシャシー、マクファーソンサスペンション、330mmベンチレーテッドディスクブレーキなど、ハイスペックな装備を誇る。特に方向転換の俊敏性や高速走行時の安定性が高く評価された。

車両のセットアップには、1980年代から90年代にかけてランチアと共に数々の栄光を築いたラリー界のレジェンド、ミキ・ビアジオンが携わった。彼の経験と知識が、このマシンの完成度を高めている。

ランチアのレース復帰は、コース上だけでなく、コース外でも大きな盛り上がりを見せた。パレルモのステランティス&ユーショールームでは250人以上のゲストを迎え、パレルモ大学に設置されたランチア・コルセHFビレッジには何千人もの来場者が訪れた。また、公式SNSチャンネルでも多くの投稿が寄せられ、ファンの熱狂を証明した。

「トロフェオ・ランチア」の初戦「タルガ・フローリオ」でのランチア・イプシロン・ラリー4 HF「トロフェオ・ランチア」の初戦「タルガ・フローリオ」でのランチア・イプシロン・ラリー4 HF

トロフェオ・ランチアの次戦は5月30日から31日にかけて開催されるラリー・ドゥエ・ヴァッリ。その後、7月4日から6日のラリー・ローマ・カピターレ、9月13日から14日のラリー・デル・ラツィオ、そして10月17日から18日の伝説のラリー・サンレモでシーズンを締めくくる予定だ。

ランチアは100年以上の歴史の中で、『ストラトス』、『037』、『デルタ』など数々の名車でラリー界を20年にわたって支配し、タルガ・フローリオでも1952年から1992年までに15回の総合優勝を誇る。今回の復帰は、そんな輝かしい過去を持つブランドの新たな挑戦の始まりとなった。

《森脇稔》

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