BMW、全固体電池搭載のEV『i7』プロトタイプを公開

ソリッドパワー社の大型純全固体電池(ASSB)セルを搭載したBMW『i7』のプロトタイプ
ソリッドパワー社の大型純全固体電池(ASSB)セルを搭載したBMW『i7』のプロトタイプ全 6 枚

BMWグループは、ソリッドパワー社の大型純全固体電池(ASSB)セルを搭載したBMW『i7』のプロトタイプを公開した。テスト車両は現在、ドイツ・ミュンヘン地域で走行している。ASSB技術の潜在的利点は、現行技術と比較してコンパクトな蓄電システムでより高いエネルギー密度を実現できる点にある。

BMWグループとソリッドパワー社は2022年以降、技術移転契約を通じて全固体電池技術の開発活動を強化してきた。両社は純ASSB技術の可能性を信じており、現行のバッテリー技術と比較して高いエネルギー密度を持つASSBバッテリーは、蓄電システム全体の重量に関する欠点なしに、車両でより長い航続距離を達成する可能性を秘めている。

BMW i7プロトタイプに搭載された試作バッテリーは、実績のあるGen5構造原理(モジュール内のプリズマセル)とソリッドパワー社のASSBセルを統合するための新しい革新的モジュールコンセプトを組み合わせている。

BMWグループは今後数ヶ月のテストプログラムで、セル膨張の管理の調査や、動作圧力の制御方法や温度条件の調整方法も検証される。硫化物ベースの電解質を持つソリッドパワーセルの使用と、それらのバッテリーパックへの完全統合について重要な知見を得ることになる。

革新的なセルは、BMWグループの専門家と協力してソリッドパワー社によって開発・製造された。ASSB技術を競争力のある総合蓄電システムに実装するには、さらなる開発ステップが必要とされている。

BMWグループとソリッドパワー社は2016年から、共同開発契約を通じて協力しており、2021年5月の資金調達ラウンドの一環としてBMWグループがソリッドパワー社に投資したことでサポートされてきた。2022年末、BMWとソリッドパワーはパートナーシップをさらに深めることに合意。BMWはパルスドルフのCMCC(セル製造能力センター)で、ソリッドパワーの経験と専門知識を活用し、研究開発ライセンスに基づいて固体セルプロトタイプラインを運営する予定だ。

BMWグループは2008年以来、バッテリーセル技術分野での専門知識を着実に拡大してきた。2019年以降、このノウハウはミュンヘンのBMWグループバッテリーセル能力センター(BCCC)に集約されている。BCCCは研究開発からバッテリーセル設計、生産能力まで、バリューチェーン全体をカバーしている。

バッテリーセル技術のイノベーションを迅速かつ効率的に実装するため、BMWグループは企業、スタートアップ、大学を含む約300のパートナーからなるネットワークで協力している。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 真夏のダッシュボードが20度以上低下!? 驚きの遮熱サンシェード新時代[特選カーアクセサリー名鑑]
  2. 大阪府警の白バイ、2025年度も「隼オイル」継続採用…過酷な環境でも安定した性能
  3. 【トヨタ クラウンエステート 新型試乗】走りそのものに違いを見出すのは難しいが…中村孝仁
  4. 「これかっこよすぎる!」「かなり価格を抑えてる」日本発売のプジョー新型『3008』がSNSで話題
  5. ホンダ『レブル』1万2000台以上をリコール…最悪の場合、エンストして再起動できない
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る