サイバーキャブは1年遅れて2027年か、特許情報からテスラの将来像を読み解く…知財ランドスケープ山内明CEO[インタビュー]

サイバーキャブは1年遅れて2027年か、特許情報からテスラの将来像を読み解く…知財ランドスケープ山内明CEO[インタビュー]
サイバーキャブは1年遅れて2027年か、特許情報からテスラの将来像を読み解く…知財ランドスケープ山内明CEO[インタビュー]全 2 枚

来たる7月16日、オンラインセミナー【テスラの最新戦略分析】真の強みとサイバーキャブ将来予測~直近3年分の特許情報起点で炙り出す~が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社知財ランドスケープ 代表取締役社長 CEO / 弁理士 シニア知的財産アナリスト(AIPE認定) である山内明氏。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

【本編】
1.分析アプローチ(インサイドアウト法他)
2.全体俯瞰から見えてくる5つの傾注分野
 コンピュータ、ソフトウェア、AI/計測制御、車両構造、電池
3.コンピュータ関連特許出願の分析結果
 冷却性能/高効率演算に拘ったハードの垂直統合志向(チップ構成部材からサーバラックまで)
4.ソフトウェア関連特許出願の分析結果
 スパコン性能を最大に引き出すためのソフトの垂直統合志向(独自プロトコルの自前開発など)
5.AI/計測制御関連特許出願の分析結果
 カメラ×AIへの開発傾注によるE2Eの高度実現志向(独自スパコンとの相乗効果による圧倒的強み)
6.車両構造/主要部材/部品
 ・ギガプレス先駆者としての圧倒的強み(高圧ダイカスト装置の条件最適化など)
 ・デザインと機能の高度な両立によるUX向上のための斬新な設計/製造技術
 (サイバートラックの品質問題解決も時間の問題)
 ・高稼働/長期使用を想定したイーアクスル開発取組(サイバーキャブやトラックSemiへの適用の動き)
7.電池
 ・LFP×電極製造乾式プロセスの実用化に向けた積極取組
 ・ワイヤレス給電への開発傾注と実用化への本気度(サイバーキャブへのワイヤレス給電×自動運転の適用の動き)
【特別編(将来予測編)】
8.サイバーキャブはこうなる!?
9.質疑応答

セミナーの開催に先立ち、セミナーの見どころを山内氏に聞いた。

イーロン・マスクの強力なリーダーシップのもと、EV市場を牽引し、自動運転技術の分野でも独自の開発を推し進めるテスラ。その技術の源泉はどこにあるのか。そして、同社が2026年中の量産を予告しているロボタクシー車両「サイバーキャブ」には、どのような技術が採用されるのだろうか。

特許情報を起点としてあらゆる産業の動向調査や個社戦略支援を手掛ける株式会社知財ランドスケープ 代表取締役社長 CEO / 弁理士 シニア知的財産アナリスト(AIPE認定) の山内明氏は、テスラが出願した数多くの特許情報を高度に分析することで、その技術戦略の核心に迫ろうとしている。今回、山内氏にインタビューを行い、過去3年分の特許情報を起点としたビジネス視点での分析から見えてきたテスラの真の強み、そしてサイバーキャブに採用されるであろう新技術の予測について、語ってもらった。

2022年以降、以下6つの分野の特許情報から明らかになったという。1.コンピュータ(半導体含)、2.AI/計測・制御(自動運転含)、3.車両構造/主要部材/部品、4.電池、5.ソフトウェア/通信、6.UI/UXの6つだ。

Dojoと「異次元の高度融合」

「サイバーキャブがE2E(End-2-End)の自動運転を採用することは明白です」と山内氏が口火を切った。テスラが目指すのは、人間の介入を必要としない完全自動運転だ。その根幹を支えるのが、自社開発のAIスーパーコンピューター「Dojo」である。

「テスラがDojoを開発していること自体は周知の事実ですが、Dojoのチップ設計や開発の初期段階から自前開発していることまではあまり知られていないかもしれません。しかしこれは特許情報から明白です。チップを構成する個々の部材レベルから自ら設計・開発し、その成果を積極的に特許出願している様子が浮かび上がったからです」と続けた。テスラは自ら、半導体の部材レベルから開発しているというのだ。

この垂直統合的な開発体制こそが、テスラの競争力の源泉だと山内氏は強調する。「ソフトウェアとハードウェアを高度に融合させて完成したのがDojoコンピューターであり、そこには世界中のテスラ車から収集される、世界で最も豊富な情報が注ぎ込まれています」というのだ。すなわち、テスラ車に搭載されたカメラから収集される膨大な走行データがDojoで解析されて自動運転AIの進化を加速させる、好循環を実現しており、これこそが他社が容易に追いつけないテスラの競争優位性の源泉だというのだ。

サイバーキャブを彩る革新技術や3万ドル車両を実現するコストダウン技術の数々

山内氏の分析結果から、テスラの将来像、特にサイバーキャブに最初に搭載されるであろう革新的な技術へと及ぶ。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

+ 続きを読む

アクセスランキング

  1. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  2. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る