【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁

マツダ CX-60 XD SP
マツダ CX-60 XD SP全 23 枚

改良されたマツダ『CX-60』にじっくり乗ることができた。今回は一番ベーシックな3.3リットルディーゼルを搭載したモデル。電動アシストの全くないICEだけのモデルである。今回は静岡往復を中心に、およそ500km走行した。

◆新グレード「XD SP」に試乗

走りの面から話をすると、乗り心地に関しては十分に快適さを増しているから、及第点をつけることができる。細かい変更点などについては、すでに前回の試乗会レポートでも少しお伝えしているので控えるが、運動性能を重視するのがマツダ開発陣の最重要課題として挙げられているのか、どうしても高いフラット感のある乗り心地にはなっていないのだが、デビュー当初のリアからの突き上げ感に関しては、ほぼ消えたと言ってよい。2024年に登場した時はタイヤがトーヨー製「プロクセス スポーツ」だったが、改良型ではブリヂストンの「アレンザ」が採用されている。このタイヤ変更も乗り味に変化をもたらしているかもしれない

今回試乗した「XD SP」というグレードは、試乗会の時にも乗ったグレードで、スポーティーさをアピールするブラックアウトしたホイールや、同じくブラックアウトしたサイドミラーなどで外観を引き締め、一方で内装の素材にはあまり高級感を持たせない、ある意味簡素な仕上がりにとどめている。

マツダ CX-60 XD SPマツダ CX-60 XD SP

まぁ、ある意味このCX-60のラインナップでは低位にランクされるモデルなのだが、それでも価格はオプションを含めた価格が433万4000円と、このサイズと性能を考えれば十分リーズナブルなのだろうと思える。オプションはセーフティー&シースルーパッケージと言うパッケージオプションで、価格は15万4000円。ブレーキサポートや360度ビューモニター、12.3インチのセンターディスプレイなど、外したくないアイテムがほとんどなので、このオプションはまあ致し方なしというところである。

簡素な内装という話をしたが、簡素と感じられる部分は、シフトレバー周りの素材が無塗装艶消しの黒いパネルであるところだけで、ダッシュボードの加飾やドアまわりの加飾などは、それなりに設えられているので、特段チープな印象を受けるものではない。

マツダ CX-60 XD SPマツダ CX-60 XD SP

◆価格差を考えたら素のディーゼルが一番

高速を使って長距離を走った時は、その良さを如何なく発揮する。まず、走りはどっしりと重厚感がある乗り味である。新東名でACCを120km/hに設定して走ると、まさに矢のような直進性を示す。この辺りがこのクルマの真骨頂と言ってよいだろう。

FRで後ろから押されている感は強くはない。エンジンもこの領域では軽快なハミングを奏でるだけで、太いトルク感も好感が持てるが、いざ街中のスピード域と渋滞とまではいかない混雑した流れの中では、6気筒の良さがあまり活かされていない。

というのも、ごく低速域の回転フィールは決して褒められたものではないからだ。この領域ではむしろ熟成の進んだ4気筒の方が、雑味が無くて個人的には好きである。6気筒の良さは本来バランスの取れた回転フィールにあると思うのだが、1000rpmから2000rpm付近を行ったり来たりするような使用状況では、ざらついたディーゼル音が気になるし、この低回転領域での回転の上下は決して良い印象ではない。

マツダ CX-60 XD SPマツダ CX-60 XD SP

もっともこれが50km/h程度の定常状態で走ると、回転はほぼ1000rpmを少し超えたあたりで安定し、そうした使い方ではディーゼルの雑味は感じられない。要するに2000rpm以下でエンジンが上下するような状況になると、感心しないというわけである。

以前トランスミッションから感じられたギクシャク感は少なくとも今回は感じられなかった。また、同じくトランスミッションが音源であろうと思われるゴーンというような不快な音も今回は感知されていない。

高速を多用した関係もあって、燃費はとても良く、おおよそ17km/リットルで走ることができた。これは、あとから借りたMHEVのモデルと大きな差はないので、価格差を考えたらどうしても素のディーゼルが一番ということになる。

マツダ CX-60 XD SPマツダ CX-60 XD SP

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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