<新連載>カースピーカーとホームスピーカーとの違いって、何?[イン・カー・リスニング学入門…スピーカー編]

市販スピーカーの一例(モレル・マキシモ ウルトラ 602 HE)。
市販スピーカーの一例(モレル・マキシモ ウルトラ 602 HE)。全 3 枚

音楽を愛するドライバーに向けて、その音楽をもっと良い音で楽しむための「イン・カー・リスニング学」を講義している当連載。まずは「スピーカー」に関するあれこれを解説している。今回は、カー用のスピーカーとホーム用のスピーカーとの違いについて説明していく。

【画像全3枚】

◆カー用とホーム用との大きな違いは「売られている状態で完成品となっているか否か」

早速本題に入ろう。カー用のスピーカーとホーム用のスピーカーとでは大きな違いが1つある。それは、「売られている状態で完成品となっているか否か」である。

ホーム用のスピーカーの姿形を思い浮かべてほしいのだが、ホーム用のスピーカーはスピーカーユニットが箱(エンクロージャー)に取り付けられた状態で店頭に並べられている。つまり箱もスピーカーの一部だ。

そしてその箱にも、メーカーの英知が注がれている。「どんな素材を使うか」に始まり、形、内部容量、スピーカーユニットの取り付け位置、取り付け方、そして内部形状に至るまで、緻密に計算されて完成されている。

一方一般的なカー用のスピーカーは、メーカーによって箱は用意されていない。なぜならカーでは、ドアが箱の役目を負うからだ。つまり箱はクルマ側にあり、どんな箱を組み合わせるかについてはメーカーの関知が及ばないのだ。

市販スピーカーの一例(モレル・マキシモ ウルトラ 602)。市販スピーカーの一例(モレル・マキシモ ウルトラ 602)。

◆カー用のスピーカーメーカーは、「パーツを供給しているだけ」!?

というわけでホーム用のスピーカーメーカーは箱にもこだわりを注入しているが、カー用のスピーカーメーカーはその部分に関してはノータッチだ。メーカーは、「パーツを供給するにとどまっている」と言っても過言ではない。

で、クルマではドアが箱の役目を負うのだが、クルマのドアはスピーカーとしては作られてはいない。もちろん純正スピーカーは取り付けられているものの、基本的には「たた付けているだけ」で、音響的な観点が優先されてドア内部が設計されてはいないのだ。

なのでドア内部は、音響的なコンディションがあまり良くない。つまり、スピーカーとしての完成度は低い。完成度を上げるための“伸びシロ”が、かなりあるのだ。

市販スピーカーの一例(モレル・イレイトカーボン 62A)。市販スピーカーの一例(モレル・イレイトカーボン 62A)。

◆専門店はスピーカーを付けるのではなく、作っている!

かくしてカー用のスピーカーを取り付ける「カーオーディオ・プロショップ」は、スピーカーを取り付ける際に、「スピーカーを作る」という作業も請け負う。ドアをスピーカーボックスとして仕上げていくという工程を踏みながらスピーカーユニットを取り付ける。

ちなみにカー用のスピーカーはDIYで取り付けられることもあるが、一般的なドライバーがスピーカーを作るという観点を持ってこれを行うのは簡単ではない。経験則が十分にはないからだ。

その点、プロは取り付け経験を豊富に持ち、TPOを熟知している。こんな状況のドアの場合、こういったタイプのスピーカーユニットを取り付ける際にはこんな問題が起こり得る、というようなことをさまざま知っている。取り付け工賃には、そういったプロが持つ知識と技術に対するインセンティブも含まれている、というわけなのだ。

今回は以上だ。次回は、ドア内部の音響的なコンディションを整えるためのポイントについて説明していく。乞うご期待。

《太田祥三》

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