愛車のトヨタ『bB』の音を良くすることを考え続けて、独自のシステムアップを繰り返して完成度を高めた矢吹さん。広島県のカーオーディオファクトリーK-soundの協力のもと、前席周辺にユニットを集中させる独自のインストールを完成させ、鮮度の高いサウンドを引き出した。
◆純正システムに負けないサウンドを目指し
独自のシステムを構築して高音質化を実現した



ユニット選びからシステム構築、さらにはインストールのスタイルまでをK-soundのスタッフとともに厳選して、徹底的に高音質を磨き上げてきたのが矢吹さんのbBだ。矢吹さんがbBの高音質化をスタートさせたのは15年前のことだった。
「たくさんスピーカーが付いている純正オプションのオーディオシステムに負けたくない、愛車の音をもっと高音質にしたいと思ったのがシステムアップのきっかけでした。Kサウンドと出会っていろいろやって来たのが今のサウンドにつながりました」
矢吹さんのbBの特徴のひとつは、パワーアンプやDSPなどがすべて前席周辺に集約されている点だ。理由はケーブルを最短距離にすることで信号伝達のロスを減らし、高音質化を図ることだ。さらにコスパ的にも有利な点やシステム変更も比較的容易なのもオーナーの狙いにかなったスタイルだった。
その結果、フロントシートの足もとスペースには4台のパワーアンプ、キャパシター、さらにアシストウーファーまでをぎっしり詰め込んでインストールしているのが見どころ。専用のアンプラックを組んだ構造はまさに唯一無二のスタイルだ。コクピットに座っていても常にユニット類が見えるのもマニアックなオーディオカーを常に感じていられるところだろう。
◆センターコンソールに設置したアンプラックに
パワーアンプ×4台などをインストールした



パワーアンプに選んだのはファスのAP2.50N×3台だ。フロント3ウェイをマルチアンプシステムでドライブしている。セレクトの理由は鳴りっぷりの良さと、正確なサウンド表現力だった。センターコンソールにアンプラックを組んで、3台のパワーアンプを積層して設置しているのも独特の取り付けスタイルだ。
またサブウーファー用のパワーアンプにはARCオーディオのKS125.2miniをチョイスする。こちらもセンターコンソール周辺にセットされ、ラゲッジのサブウーファーを駆動している。深みのある低音でフロントスピーカーとのコンビネーションを楽しむシステムに仕上がっている。
さらにアンプラックの下部にはブレイムスのキャパシタを設置。電源系のグレードアップもオーナーの注目ポイントであり、電気の流れを安定させることでも高音質化を狙った工夫点だ。
そしてグローブボックスを見るとリゾルトのDSPであるT-DSP mk2が取り付けられている。グローブボックスのリッド部を大きく加工してDSPをビルトイン取り付け、フェイスパネルを見える構造にしているのも独特のデザイン。同モデルを選んだ理由は「力強さやパワフル感を引き出すため」、実際に音を出してみると押し出し感の強いサウンドが引き出せたことで満足感も高い。
またシステム的な特徴のひとつがヘッドユニットであるサイバーナビからDSPの間に1個、DSPから各パワーアンプの間に4個、合計5個のラインドライバー(ARCオーディオ)を用いている点。ここでもサウンドを自分流にコントロールしている。
◆ラゲッジには豊かな低音を再生する
サブウーファー×2発をインストールする



低音はセンターコンソールにアシストウーファー(ソリューションラボのバスーン)を設置するが、本格的な低音再生を担っているのはラゲッジの2発のウーファー。ユニットにはファスのサブウーファーであるPSW8.0を2発組む。パワーアンプでも同ブランドを選んでいることからも、オーナーのファスブランドへの信頼感が伝わってくる。厚みのある広がり感重視のサウンドが車内で楽しめる音作りがこれらのユニットによって完成した。
オーディオコンペなどへの出場も積極的に行っている矢吹さんだが、しかし自分流の音作りには徹底してこだわってきた。テーマはボーカルの美しさと音の広がり感だ。そんなサウンドを現出させるために、ユニットセレクトとシステムデザインを少しずつ進化させたどり着いたのがこのシステムだった。次回の後編ではサウンドのキーワードとなったフロントスピーカーについて紹介していくこととしよう。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。