8月3日に決勝を迎える「鈴鹿8耐2025」(2025 FIM世界耐久選手権コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会)。6年ぶりに8耐への復帰となったヤマハ発動機は2日の予選で、ブランクをものともしない2番グリッドを獲得する快進撃を見せた。
王者ホンダに迫る勢いのヤマハだが、レース以外でも話題を振りまいている。ブースでは久々のファクトリーチーム参戦、さらに創立70周年=レース活動70周年を迎えるとあって歴代の8耐マシンを展示しファンの注目を集めているが、市販車の展示も見逃せない。

『YZF-R3』『XSR900』『MT-07 Y-AMT』『TRACER9 GT+ Y-AMT』と話題の2025年モデルを取り揃えるだけでなく、国内導入が待たれる『YZF-R9』を目玉にブースを沸かせている。「YZF-R」シリーズといえばヤマハのスポーツバイクの代名詞。8耐ではフラッグシップの「YZF-R1」でその速さを見せつけているが、では新たに投入されるYZF-R9とは一体どのようなバイクなのか。
◆親しみやすいスーパースポーツ

YZF-R9の開発コンセプトは、“Re-DNAed Supersport”。「ミドルクラス最強のトラックパフォーマンスの中に最高のエキサイトメントと、スキルやステージを選ばないアクセシビリティを併せ持つ、懐の広いモデルに仕上げた」としている。
より具体的には、ハイスペックになり過ぎたR1とR6に代わり、高性能を実現しながらもR7のような扱いやすさを両立した「親しみやすいスーパースポーツ」をめざした。「乗りやすいスーパースポーツの究極形」と開発責任者は語っている。
また価格面でもR1が253万円からと手が届きにくいものとなったこともあって、「アクセシブル(とっつきやすい)とアフォータブル(手の届く価格)」なスーパースポーツの実現をめざし開発されたという。

スタイリングは、「YZF-R」シリーズらしさを継承しつつ、エアロダイナミクスを高めた新たな機能美を追求。ヤマハの伝統でもある人機一体感を、動的にも静的にも強固なものへ進化させた。R1ほど主張しないものの、存在感を放つフロントのウイングレットがその個性の一端を見せつけている。
全長2070mm×全幅705mm×全高1180mm、ホイールベースが1420mm、シート高は830mm。どこから見てもスーパースポーツだが、ライディングポジションはR7に近くアクセシブルだ。ステップ位置を下げることにより、足元のゆとりも確保できる。
エンジンは、ヤマハのスポーツバイクの中核を担う888ccの直列3気筒「CP3」エンジン。最高出力は119ps/10000rpm、最大トルクは9.5kgf・m/7000rpmを発揮する。※スペックはすべて欧州仕様

エンジンやスイングアームは『MT-09』をベースとしながらも、フレームはヤマハ歴代スーパースポーツ最軽量となるわずか9.7kgの新型アルミダイキャストフレームを採用するこだわりよう。従来のR6よりもしなやかな特製を持ち、さらに緻密な減衰コントロールが可能な前後KYB製の新型サスペンションを採用することで高い走行性能と乗り心地の両立を果たした。
また、LAPタイム計測や走行データの可視化が可能なアプリ「Y-TRAC」などのコネクテッド機能、さまざまな路面状況に合わせた走行が可能なYRC(ヤマハライドコントロール)、クルーズコントロールシステムなどの最新走行支援デバイスの搭載も特徴となっている。
◆気になる発売時期は

そんなYZF-R9、今回の8耐ブースでは、サーキットで活躍を見せているR1を思わせるヤマハ伝統のレーシングカラー「ホワイト&レッド」の車両が展示され、またがり試乗も可能となっていた。
SNSでは実際に会場で試乗したユーザーのから「YZF-R9もイイナァ 足つきも悪くはなかった」や「ステアリングポジションはすごくフレンドリー」といったコメントが寄せられているが、多くのファンの関心はその発売時期にあるようだ。
当初の予定では「2025年春以降の発売予定」としており、展示車両のプレートにもそう記載されているが、今やすでに夏まっ盛り。「YZF-R9、全然続報ないなぁ」「国内販売いつなんやろ」「GSX-R1000Rは発表あったけどYAMAHAさんYZF-R9は どうなりました」といったコメントも寄せられていた。
スズキが8耐に合わせてレース直系のスーパースポーツ『GSX-R1000R』の復活を発表しただけに、R9との比較検討をしたいというファンも少なくないようだ。発表間近との噂もあるようだが、もうしばらくの辛抱となりそうだ。
