ロールスロイスモーターカーズが、同社の最高峰モデル『ファントム』の誕生100周年に合わせて、アート界との深い絆を祝福している。
ファントムは100年間にわたり、世界の著名なアーティストたちと深い関わりを築いてきた。サルバドール・ダリ、アンディ・ウォーホル、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、クリスティアン・ベベ・ベラール、セシル・ビートンなど、名だたる芸術家たちがロールスロイスを移動手段として愛用した。
特に印象的なエピソードとして、1955年冬にダリがパリ・ソルボンヌ大学での講演のため、友人から借りたブラックとイエローのファントムに500kgのカリフラワーを詰め込み、パリの街を疾駆した出来事がある。大学前でドアを開けると、冷たい12月の地面にカリフラワーが雪崩落ちる光景は伝説となった。

アンディ・ウォーホルは1972年にスイス・チューリヒのアンティークショップで1937年製のファントムを購入し、1978年まで所有していた。ポップアートの影響力に敬意を表し、ロールスロイスは現代アーティストに依頼してこのスタイルでファントムを再構想した作品も制作している。
1911年以降、すべてのロールスロイス車には世界で最も有名で象徴的なマスコット「スピリット・オブ・エクスタシー」が冠せられている。このアイコニックなシンボルは、才能豊かで多作なアーティスト、チャールズ・ロビンソン・サイクスによるものだ。
サイクスはロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学んだ後、1902年にボーリューの第2男爵ジョン・ダグラス・スコット・モンタギュー卿のもとで働き、雑誌の挿絵を担当した。その後、モンタギュー卿の依頼でロールスロイス『シルバー・ゴースト』を描いた絵画シリーズを制作し、これがロールスロイスの初代商業部門責任者クロード・CJ・ジョンソンの目に留まった。

ジョンソンは1910-1911年のカタログ用にサイクスに油彩6点を依頼し、その後正式なマスコットの制作も依頼した。サイクスがインスピレーションを受けたのは、パリのルーヴル美術館で目にした堂々たるギリシャ彫刻「サモトラケのニケ」だった。
現在、ファントムはクリエイターやコレクターにとってキャンバスであると同時に、時代を超えて個人の想いを映し出し、確固たる意志を宿した希少な表現の形として、未来を見据える思想家たちにインスピレーションを与え続けている。
ロールスロイス・モーターカーズのクリス・ブラウンリッジCEOは「ファントムは100年もの間、世界の著名なアーティストたちと共に時を過ごしてきた。誕生から一世紀を迎える今、尽きることのない魅力に満ちた軌跡と、その物語を形づくってきた芸術家たちに思いを馳せる絶好の機会」とコメントした。
