ヤマハ発動機は21日、横浜市で開かれた第9回アフリカ開発会議(TICAD9)でアンゴラ共和国の零細漁業と漁船の近代化に向けた9者による戦略的パートナーシップの締結に合意した。
パートナーシップには、アンゴラ側から同国水産・海洋資源省、水産・養殖開発機関、国営企業のエディペスカ・ナミベ水産公社、ヤマハ発動機の現地特約店R&S LDAが参加。日本側からは一般社団法人マリノフォーラム21、NEC、日東製網、大洋エーアンドエフ、ヤマハ発動機の9者が参加した。
各者は相互に協力しながら、持続可能な資源管理・バリューチェーンの確立を模索し、同国の水産業振興および現地漁業従事者の経済的自立に貢献することを目指す。
具体的には、資源管理調査や零細漁業におけるFRP(繊維強化プラスチック)船の導入支援、漁法指導、DX技術をベースとした資源管理手法の開発・導入などを実施する。
アンゴラは大西洋に面した長い海岸線を有し、水産資源の豊富な国だ。水産業の振興による高い成長可能性が期待される地域だが、零細漁業で使われる漁船の多くは安全性・耐久性の低い木造船で、操業における安全性や効率、漁獲物の衛生管理や輸出競争力などに課題があった。
ヤマハ発動機は現地零細漁業者向けのFRP船導入を検討するR&S LDAへの支援を通じて、市場調査や零細漁業へのFRP船導入における技術援助や助言などを行う。
同社は1960年代からアフリカ市場の開拓を進め、現在アフリカ52カ国・地域で「市場密着型ソリューション」を主体としたビジネスを展開している。飛躍的な人口増加、中間層の台頭など高いポテンシャルを秘めたアフリカ市場を注力すべき市場と認識し、今後も積極的な事業の拡大を目指す。
総合マリンメーカーとして「資源の保護」や「環境との共生」による沿岸漁業の持続的な成長を目指し、漁民の航行と操業の安全を大前提とした漁業近代化で、沿岸漁業発展と産業振興によるヤマハ発動機が目指す新たな「ブルー・エコノミー」をTICAD9で提案している。