ドライビングポジションや手で触る部分を扱いやすくするのも重要なカスタマイズのひとつ。そこでぜひおすすめしたいのがステアリング交換だ。ステアリングを好みのものに変えることで、クルマは驚くほど扱いやすくなる。
◆純正が最適とは限らない、握りとサイズの相性
もちろんクルマを購入すればステアリングはついている。ある程度そのクルマのキャラクターに沿ったものがつけられていて車種によって大きめのものがついていたりやや小さめなものがついていたりグリップが太かったり細かったりする。
その純正ステアリングが必ずしも全員の手に馴染むとは限らない。特に太さはそのステアリングの握り方によって好みが大きく分かれるところ。これは太い方が良い細い方が良いという問題ではなく、また手の大きさが大きい小さいという問題でもない。
ステアリングを指で握るタイプの人と手のひらで握るタイプの人に分かれる。これはほぼ持って生まれたものなので変えようがない。その持ち方によって太いステアリングがマッチしたり細いステアリングがマッチしたりもする。
また、大きさも同様で、基本的には小さなステアリングほどクイックに反応するようになるので、曲がりやすいと感じやすい。逆を言えば高速道路を走るのがメインの人に小さなステアリングをつけると疲れやすいと感じるし、サーキットでも特にタイトなコースをメインに走ろうという人が大きなステアリングをつけると腕の移動量が増えて曲がりにくいと感じることもある。この辺はその使い方や好みによって変わるので必ずしも純正のステアリングがベストとは言えないのだ。
◆エアバッグと保険、競技参加時の扱い
これまでステアリング交換には大きな問題が2つあった。1つはまずエアバッグの問題。以前はステアリング交換をしてエアバッグがなくなると任意保険のエアバッグ特約などを変更しなければならず忘れると保険を使うときに支障が出るなど問題があった。だが現在はほぼすべての保険でエアバッグ特約がなくなったのでその点は心配がない。とはいえステアリング交換によってエアバッグがなくなることが多く、そこを気にする場合は車種別のエアバッグ付きステアリングに交換するということになる。
スポーツ走行ではエアバッグをキャンセルすることが多い。これはコースアウトや縁石に乗った衝撃によってエアバッグが突然開くと事故につながるためだ。ヤリスカップやGR86/BRZカップなどナンバー付き車両で参加できる競技では、ステアリングの交換が禁止されているが、レース時はエアバッグ機能のキャンセルが義務付けられている。そして公道走行前にエアバッグ機能を復帰させることがルールで定められている。
◆ステアリングスイッチ移設で機能を守る
そしてもうひとつの問題が近年増えているステアリングスイッチである。最近のクルマはステアリングにメーター内ディスプレイの切り替えスイッチがあったりオーディオ等の切り替えやクルーズコントロールのスイッチなどがつけられていることがほとんど。
これを外して一般的なステアリングにするとそういったスイッチがなくなってしまうが、自分の手に合ったステアリングに交換したいという人も多い。そこで最近ではこのステアリングスイッチを移設するキットやオリジナルのスイッチを開発しているメーカーが増えてきた。
それらは純正ステアリングにつけられているスイッチの機能を移設したり、他のスイッチを取り付けることで同様の機能を持たせる。ステアリング交換をしても支障がないようにするためだ。このパーツは内部に基板が必要だったり専用部品が必要で、車種ごとの設定になってしまうが、トヨタ『GR86』や『GRヤリス』など人気車種では徐々にラインナップが増えていて、選択肢が広がっている。そういったパーツを活用して自分好みのステアリングにすることでさらにクルマが扱いやすくなる。