スズキ『アルトラパン』が10年目のビッグマイチェン! 開発者が語る「長く愛される理由」と、それでもデザインを大刷新したワケ

スズキ アルトラパン(左)とアルトラパンLC(右)
スズキ アルトラパン(左)とアルトラパンLC(右)全 14 枚

スズキ『アルトラパン』と『アルトラパンLC』がマイナーチェンジし、8月25日に販売を開始した。新エンジンとマイルドハイブリッドを搭載したほか、安全運転支援システムも充実。レトロ感あふれるデザインは、より個性を強めるなど、全方位で手が加えられた。

【画像】スズキ アルトラパンとLCのマイナーチェンジモデル

今回のマイナーチェンジのねらい、見どころを開発者に直撃した。

◆ラパンとLCの違いとは

スズキ・アルトラパン LC 改良新型スズキ・アルトラパン LC 改良新型

もともとラパンとLCは、初めてクルマに乗るような若い人をターゲットにして開発された。また、「30代、40代でライフステージが変わってファミリーユースのクルマに乗る人は一時期離れますけれども、子育てを卒業してそんなに大きなクルマはいらない、小さくて小回りのきくクルマの方が良いという方にも選んでもらえているクルマです」と話すのは、開発責任者をつとめたスズキ商品企画本部 四輪軽・A商品統括部の竹中秀昭さんだ。

そして今回の改良では、「顔周りなどのデザインが変わったことが一番大きい」と竹中さんは話す。同時に、「安全装備が最新になりましたし、ラパンとLCで初めてハイブリッドを搭載することで、低燃費や安全装備が最新になっています」という。

本来ラパンは、こだわりのあるユーザーに向けて開発されていた。そこにあえて、レトロなスタイルをさらに強調したLCを追加したのが2022年。現行の3代目登場から7年を経たタイミングでの投入となった。そもそもなぜLCを追加したのか。

スズキ アルトラパンLCスズキ アルトラパンLC

竹中さんは、「通常、軽自動車の場合6年から7年経つとフルモデルチェンジするタイミングを迎えます。しかしラパンの場合、デザイン的にも長く愛され、流行に関係なく乗っていただきたいという思いと、そこに共感して乗っていただいているクルマです。そこで、それまでのラパンを買っていたお客様とは違うお客様にも選んでいただけるようなイメージ、ラパンワールドを広げたいという思いでLCを開発しました」と説明する。

また、デザインを手がけたスズキ商品企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課の長嶋みのりさんは、「デザイン的に2代目『フロンテ』(LC10型)を意識はしていますが、本来のLCの意味はライフチェンジコンパクトという意味です。小型のクルマに乗って生活を変えてみよう、変えてほしいっていう思いが込められています」と、そのねらいについて語った。

デザイナーの長嶋みのりさん(左)と開発責任者の竹中秀昭さん(右)デザイナーの長嶋みのりさん(左)と開発責任者の竹中秀昭さん(右)

◆「可愛すぎる」という声

今回の商品改良を行う上で、先代の振り返りも行われている。そこから見えて来たラパンとLCの特徴とは何だろうか。竹中さんはまずラパンについて、「長く使っていただいているクルマですし、とても気に入っていただいてラパンからラパンへの乗り換えも多くあります。そこで新型では新しく顔も変えながら機能も向上させています」。一方で、「ちょっと可愛すぎるという声がありました」という。

そしてLCは、「こちらの方が個性的なので、人を選ぶかなと思っていたんですが、好評で、こういった雰囲気のクルマも認められるんだと認識しました。この印象は維持しつつ、ラパンの世界観の拡大という目的を考慮し、顔周りについてもラパンとは異なるデザインへ変更しました。内装も可愛さから、デザインコンセプトである“ハンサムトラッド”に振りきるることでよりいろいろな人に乗ってもらいたい。そこでカラーも含めて変更を行いました」。

尚、今回の商品改良ではパワートレインや安全運転支援装備などはラパンもLCも共通である。

スズキ アルトラパンとLCにはじめてハイブリッドが登場スズキ アルトラパンとLCにはじめてハイブリッドが登場

◆10年目の大変化

今回のマイナーチェンジの肝であるデザインを手がけたのは、若手中心のデザイナーたちだった。開発責任者である竹中さんは、そんなデザインチームにどのようなオーダーを出したのか。

「実際、お題はあまり細かく話していなくて自由にやってください、と話しました。若年女性が思う自分が乗りたいクルマということで、デザインについての社内の審査会もあまり年寄りが意見を出すのではなく、デザイナー自身としてどうなの?という感じで聞いて決めていきました」と話す。従って、「私もあまり口出ししていないんです」とのこと。

そして、「LCは22年に出したので3年、ラパンはもう10年経ちますので変える必要はありました。LCは個性的という理由で選ばれていますが、その鮮度が少し落ちてきたように感じていました。それを裏付けるように、当初は6割強がLCだったんですが、3年経って大体半々ぐらいになっているんです。そこで顔を変えることでもう一回、こういう個性もあるんだと訴求していこうとしています」と話した。

スズキ アルトラパンスズキ アルトラパン

竹中さんは今回のマイナーチェンジモデルについて、「見た目は可愛くて色々なところにこだわりポイントがあるので、自分なりのこだわりポイントを見つけて可愛がってもらいたいですね。このクルマを所有することで、人生が変わる、生活が変わる、もっと楽しい気持ちになれるように仕上げました。そういったクルマとして生活の中に入れてもらえればうれしいです」とコメント。

そして、「今回振動減衰性能を持つ構造用接着剤などを採用することで足回りのセッティングが少し変わり、タイヤも変わりました。そしてマイルドハイブリッド化したパワートレインも採用していますので、外観以上に中身が変化しています。初めて乗る方も多いことを想定してもともと開発していますので、今回はさらに素直に動いてくれるとか、運転しやすいクルマとして違和感なく仕上げました」と乗りやすさが大きく向上していることも強調した。

スズキ アルトラパンと開発責任者の竹中秀昭さんスズキ アルトラパンと開発責任者の竹中秀昭さん

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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