今年(2025年)6月、ジープ初のマイルドハイブリッドモデルとして登場したのが、この『レネゲード e-Hybrid』。グレードは「アルティチュード」の1タイプで、この機に新色のソーラーイエローを加えた5色展開になった。
【画像】ジープ レネゲード Altitude e-Hybrid
確かイエローはこれまでにも呼び名の違う色で何度か設定があった。
◆人気のデザインはそのままにアップデート

レネゲードが最初に日本市場にお目見えしたのは2015年7月。その後2020年11月にPHEVの「4×e」を登場させるなどしたが、思えば登場から10年が経つ息の長いモデルでもある。が、評判のよさの証左として、外観の基本デザインは初期型からほぼ変わらない。
試乗車の仕様では7スロットグリルの縁取りが艶アリのブラックになっているほか、ドアミラー、ドアハンドルが樹脂色のブラックに。それと、試乗中たまたま街中の信号待ちで従来型の後ろについて「あれ!?」と気づいたのだが、従来はあったテールゲートのハンドルが試乗車ではなくされ、現在は直接操作する場合のロック解除のボタンが、その下のバンパーとの隙間から指を入れた場所にある電磁スイッチ式になっている。スッキリとしたルックスになったことは確か。
試乗車は光の加減でキレイなブルーが際立って見えるスレートブルー。標準のアルミホイールは、非ブラック系のシルバー塗装でデザインもシンプルな、今どき涙が出るほど洗車がしやすい(!)デザインのそれが装着される。
◆“道具としての心配り”が感じられる室内空間

一方インテリアも基本的には大きく様変わりしていないものの、第5世代Uconnect 5の操作に使うタッチパネルモニターが新たに10.1インチに。ステアリングホイールも新形状だ。それとWillys MBジープのフロントデザインをモチーフにしたワンポイントが変わらず随所にちりばめられているのも(フロントガラスの黒セラ部分や、フロアマットの“踵置き”にまで!)、ジープらしい楽しげな心意気が味わえるあしらいだ。10.25インチマルチビューディスプレイの採用も現行型らしい。
室内空間は箱形形状から想像できるように、コンパクトなクルマながら、昔ながらのクロカンSUV的なゆったりとしたスペースというべきか。とくに後席は固定式のシートバックが僅かに寝ているも、アップライトな着座姿勢ながら頭上空間はさらにコブシ2個半あり(筆者の計測値)、ドア開口がスクエア形状のため、乗降性も非常にいい。
ラゲッジスペースも幅950mm、奥行き770mm、トノカバーまでの高さは最大で570mm(いずれも筆者実測値)と使いやすいスペースになっており、高さの位置決めが変えられる床板は、グッと押し込んで所定の位置に収めた状態でガタつかないよう、上下段とも奥の“受け”の部分にゴムのブッシュが仕込んであるところなどに、道具としての心配りがある。

◆10年選手でも見劣りしない走り
そして走りも想像以上に好印象だった。年期の入ったメイクであり、モデル、クラスは違うが後発の『アベンジャー』の出来の良さから、さぞ見劣りするのでは……の予想に反し、しっかりと最新モデルとして通用する仕上がりになっていると思う。
とくに乗り味は17インチタイヤによりジープ車らしいアタリの柔らかな心地いいものだし、ボディもしっかりしているため、決してクルマそのものの古さは感じない。ホッコリとした乗り心地は我が家のシュンも高評価(!)だったようだ。

その上で1.5リットルの4気筒ターボ(117kW/240Nm)と48Vモーター(15kW/55Nm)内蔵7速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わせられたパワートレインが、十二分な性能と洗練されたマナーを発揮してくれる点は魅力にさえ感じるほど。気難しさのないパワーフィールと、相変わらずの扱いやすさは4×eの時以上にピンときた次第。
レネゲード、ここにいよいよ極まれり、だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。