横河電機は9月22日、トヨタ自動車がJAXAと研究開発を進める有人与圧ローバー「ルナクルーザー」向けの計測・制御機器の試作を含む研究開発に関する契約を締結したと発表した。
近年、月面活動は宇宙機関による探査に加え、民間企業も月面着陸に挑むなど活発な動きを見せている。有人与圧ローバーは日本初となる独立型の有人宇宙システムとなり、月面において有人の月面探査範囲を飛躍的に拡大し、無人の時でも遠隔操作による継続的な探査を可能とすることから、月面での活動を持続するうえで中核的な役割を果たすことが期待されている。
横河電機はさまざまな産業の顧客に高信頼の制御システムおよび計測機器を長年提供してきた。その実績と、宇宙産業開発に対する積極的な取り組みがトヨタ自動車に評価され、同社における有人与圧ローバーの開発プロジェクトに参画することになった。
今回の契約では、トヨタ自動車とかねてより取り組んできた有人与圧ローバーの制御プラットフォームとバッテリー計測コンポーネントの概念検討をさらに進め、試作品の開発に向けた設計と調達まで実施する計画である。横河電機は、2031年以降の打ち上げを目指して今後もトヨタ自動車とともに開発に取り組む。
横河電機宇宙事業開発室の白津英仁室長は「持続的な月面探査において重要な役割を担うルナクルーザーの計測・制御機器の研究開発において、トヨタ自動車と協力できることを大変うれしく思っている」とコメントした。
同社は中期経営計画で宇宙を探索領域と位置付け、極限環境で培われた計測・制御・情報技術を強みとして事業開発を進めており、宇宙向け製品の開発を通して得られた技術や知見は、地上産業向けの既存製品とサービスの信頼性向上にも活用していく、としている。