NTT、自動運転の遠隔監視映像から物体認識率を推定する技術を開発

画質低下が物体の飛び出しの認識に与える影響
画質低下が物体の飛び出しの認識に与える影響全 4 枚

NTTは、自動運転車両から遠隔管制室に送信される遠隔監視映像および車両に関する情報から、車両前方への物体の飛び出しを認識することが可能な映像品質であるかを推定する「物体認識率推定技術」を確立したと発表した。

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渋滞や運転者不足の解消を目的に、自動運転システムの研究開発が進められている。自動運転レベル4では、遠隔管制室および特定自動運行主任者(遠隔監視者)の設置が道路交通法によって義務付けられている。また、自動運転車両から送信される映像が鮮明でない場合や、映像の送受信を正常に行うことができない場合、遠隔監視者に通知することが道路交通法施行規則にて定められている。

現状の遠隔監視システムでは、自動運転車両から送信される遠隔監視映像が監視の観点で鮮明であることを判断する基準がなかった。自動運転車両から遠隔監視映像を受信する際には無線通信を利用するが、無線品質が低下すると遠隔監視映像の送信に利用可能なネットワーク帯域が減少するため、映像のビットレート低下やパケット損失が発生する場合がある。

ビットレート低下による画質低下が発生すると、遠隔監視者が自動運転車両の前方への物体の飛び出しを認識しづらくなる。また、パケット損失が発生すると映像フレームが停止(フリーズ)するため、物体の飛び出しを認識しづらくなる。さらに、自動運転車両は周囲の状況に合わせて走行速度が変化し、走行速度が速いとより遠くで物体を認識する必要があるため、物体の飛び出しを認識しづらくなる。

今回確立した技術は、遠隔監視映像に関する情報と物体認識率の主観評価特性を数理アルゴリズムとして定式化している。主観評価実験の結果、「ネットワーク帯域に応じて遠隔監視映像が符号化された際の情報(ビットレート、解像度、フレームレート)」、「パケット損失によるフリーズ映像フレーム数」、「車両情報である走行速度」と「自動運転車両の前方への物体の飛び出しの認識」の関係として導出した。

本技術を遠隔管制室に適用することで、映像監視モニタに表示される遠隔監視映像が、物体の飛び出しを認識できないレベルに画質が低下した際や、フリーズ映像フレーム数が増加した際にアラートを上げることができる。これにより、遠隔監視者が見落としてしまう可能性がある短時間の映像停止や品質の低下に即座に気づくことができ、自動運転車両の減速や停止などの措置を講ずることで、安全な自動運転が実現できる。

なお本技術は、2025年11月に標準化機関であるITU-T SG12にて勧告化された。

今後は本技術を用い、遠隔監視映像品質低下時にアラートを上げることで遠隔監視者の監視効率が改善されていることを確認するフィールドトライアルに取り組んでいく。

《森脇稔》

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