スタンレー電気は11月10日、神奈川県横浜市青葉区の技術研究所新棟を竣工したと発表した。
総工費は約60億円で、2026年2月から稼働開始予定となっている。
新棟建設は、第4期中期3ヶ年経営計画に掲げる「光の独自技術で新市場開拓」を推進するための戦略的投資の一環。研究開発体制をさらに強化し、未来社会を見据えた技術革新と新たな価値の創出を目指す。
新棟では、ナノテクノロジーを核とした次世代技術の創出に取り組む。自動車領域では安全性向上のための精密な光制御が求められ、生活・ヘルスケア領域ではウイルスや細胞など極めて微小な対象への技術的アプローチが必要とされている。これらの社会的ニーズに対応するため、ナノレベル(1ナノメートル=100万分の1ミリメートル)での成膜・加工・分析を可能にする先端設備などを導入する。
あわせて、研究開発領域へのデジタルトランスフォーメーション(DX)の活用を進めながら、これまでにない精度と機能を持つ光デバイスの開発を加速する。
研究開発拠点の集約と知の融合も重要な目的の一つ。これまで複数の拠点に分散していた研究開発機能を集約し、実験室のワンフロア化や、創造性とコミュニケーションを高めるオフィス環境を整備する。テーマや部門の枠を越えた自由な発想と知識の融合を促し、よりスピーディーで革新的な研究開発の実現を図る。
また、企業・大学・スタートアップとの共創を推進するエリアを設け、オープンイノベーションを促し、社会課題の解決や新しい価値の創出に挑戦していく。
主な研究開発テーマには、次世代光源の創出(PCSELの開発、VCSELの進化など)、モビリティの安全につながる要素技術(悪天候・死角の克服など)、光で水や空気を無害化する深紫外除菌技術、高齢化や人口減少、高度情報化社会に対応した生活・ヘルスケア分野への光ソリューション、カーボンネガティブ、サーキュラーエコノミー関連などがある。
新棟は神奈川県横浜市青葉区榎田西1-3-1に位置し、敷地面積6817平方メートル、建築面積2631平方メートル、延床面積8529平方メートル。RC造地上5階建てで高さ約20メートル。環境配慮設計として太陽光発電(想定出力:75kW)、高効率空調、断熱構造などで約400t-CO2/年を削減する。
スタンレー電気は1920年に自動車用電球などの特殊電球の製造販売を目的に創業し、現在では世界の主要な四輪・二輪メーカーに製品を提供している。自動車照明以外にも可視光・赤外・紫外の各種LEDやLCDなどのコンポーネンツ製品、電子応用製品で、暮らしの安全安心に貢献している。




