ブレーキパッドの選び方は「高いほど正解」ではない! 街乗りとサーキットで最適解が変わる理由~カスタムHOW TO~

ブレーキパッドの選び方は「高いほど正解」ではない! 街乗りとサーキットで最適解が変わる理由~カスタムHOW TO~
ブレーキパッドの選び方は「高いほど正解」ではない! 街乗りとサーキットで最適解が変わる理由~カスタムHOW TO~全 4 枚

ブレーキパッド選びは大は小を兼ねない。良かれと思って「どうせならちょっと高めのパッドにしよう」と高額なパッドを買うと、意外とスポーツ性能が高すぎて街乗りでは扱いづらいこともある。そんなブレーキパッド選びは色気を出すほど難しいというお話だ。

【画像全4枚】

ブレーキパッドは比較的安価に購入できて装着もしやすいが、それでいてブレーキフィーリングの変化はとても大きいパーツである。特にサーキット走行やワインディングを走るなら、純正ブレーキパッドからスポーツパッドへの交換をおすすめしたい。そのときにどんなパッドを選ぶかが重要なポイントになる。

◆純正ブレーキパッドの特徴と街乗りでの強み

まず純正ブレーキパッドは樹脂や繊維などがメイン成分で、ノンアスベスト材やオーガニック材と呼ばれる素材でできている。これらの素材は扱いやすく、ブレーキは低温時から滑らかに効いてくれる。ブレーキダストも少ないのでホイールが汚れにくく、価格も非常にリーズナブルだ。

だがスポーツ走行をするとなると、話は変わってくる。樹脂と繊維がメインの成分であるノーマルパッドでサーキット走行を続けると、パッドの温度が上がり、樹脂が燃えてガスが発生する。このガスがパッドとローターの間に入り、パッドが一時的に浮いてしまってブレーキが全く効かなくなる現象をフェード現象と呼ぶ。フェード現象が起きると瞬時に制動力を失い、大きなクラッシュやアクシデントにつながることもある。

◆スポーツパッドと焼結パッドの耐熱性と注意点

そこで作られたのがスポーツパッドと呼ばれるものだ。樹脂や繊維も含まれているが、鉄を筆頭にさまざまな金属を加えることで耐熱性を高めている。樹脂が減り、金属成分が増えることで高温時にガスが発生しにくくなり、フェード現象が起きにくい。

究極は焼結パッドと呼ばれるもので、金属成分がほとんどを占め、それを焼き固めたブレーキパッドのことだ。このパッドは高温になっても金属主体なのでガスが発生しにくく、フェード現象は起きにくい。だがその代わり、ブレーキが冷えているときは摩擦材がうまく溶けて皮膜を形成できず、十分に機能しない場合がある。

皮膜がうまく形成できないと金属成分がローター表面をゴリゴリと削り、あっという間にパッドもローターも減ってしまう。これは極端な例だが、こうした傾向はスポーツパッドでも起こり得る。

スポーツパッドにはストリートメインからサーキットメインまで幅広い種類があり、サーキット向けになるほど金属成分が多く高温に強い。その一方で街乗りなど普段の温度域で使うと、パッドもローターも短期間で摩耗しやすい。そして、一般的にサーキット寄りのパッドほど価格は高くなる。

◆「高い=正解」じゃない、使い方で決めるブレーキパッド選び方

このような特性があるため、ブレーキパッドを変えようと思ったとき、「せっかくだから上のモデルを」とスポーツパッドを選ぶと、知らないうちにサーキット寄りのモデルを選んでしまい、普段乗りでパッドやローターを無駄に消耗させることがあるのだ。

高いモデルほど良いものと思ってつい手を伸ばしがちだが、ブレーキパッドにおいては高いモデルほどサーキット向けのスポーツ性能が高く、街乗りでは扱いにくいものも多い。さらに街乗りの温度域で使うと、異常に摩耗が進むケースもある。だからこそブレーキパッド選びは、「ちょっと良いものを」という発想よりも、自分の使い方や求めるブレーキフィーリングに合わせた選び方をするのがおすすめである。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『キャシュカイ』の新型e-POWER、燃費15%改善でセグメントトップレベルに…独ADACがテスト
  2. 「トランプさん、これ買います」最新の4ドアマッスルカー『チャージャー』発表に「めっちゃかっこいい」と高評価の声
  3. 「就職人気企業ランキング」総合トップは8年連続で伊藤忠商事、トヨタは42位に後退[新聞ウォッチ]
  4. BMWが24車種4万台をリコール…濡れると火災のおそれ
  5. 日産版の三菱アウトランダー!? 北米発表に「まんまやんけ!!」「かっこよ!」など日本のファンからも反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る