ジェイテクト、グリーン水素の地産地消モデル構築…水素生成設備「CNプラント」を2026年夏運用開始へ

CNプラント
CNプラント全 3 枚

ジェイテクトは、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、愛知県岡崎市の花園工場に再生可能エネルギーを活用し、水素を生成・供給する設備「CNプラント」を新設したと発表した。

【画像全3枚】

工場内で水素を自立的に供給できる体制を構築するとともに、水素を燃料とする「水素バーナー式アルミ溶解保持炉」を設置し、2026年夏頃の運用開始に向けた準備を進めている。今後、花園工場内での水素の地産地消による環境効果を検証していく。

ジェイテクトグループは、「環境チャレンジ2050」を策定し「All for One Earth」をスローガンに掲げ、かけがえのない地球を次世代につなぐためのチャレンジを続けている。カーボンニュートラル達成のためにScope1、2、3すべてにおいてCO2排出量削減をすすめており、特に自社の生産活動に関連するScope1、2においては2035年にカーボンニュートラル達成を目指している。

生産工程におけるカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーを活用し、水素を生成・貯蔵・供給する施設「CNプラント」を整備した。太陽光発電による電力を用いて水電解を行い、グリーン水素を生成。生成した水素はガスボンベに充填し、余剰電力は蓄電池に貯蔵することで、エネルギーの有効活用を図る。

さらに、工場内に水素供給用の配管設備を整備し、水素を「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」の一連のプロセスを工場内で完結できる体制を構築した。これにより、外部から水素を輸送しない地産地消を実現し、効率的な水素活用を可能にした。

水素を燃料とするアルミダイカスト(アルミを高圧で金型成形する鋳造法)工程の溶解保持炉も導入した。燃料の水素はCNプラントで生成した水素を配管で供給する。CO2排出を伴うアルミダイカスト工程において、グリーンエネルギー由来のグリーン水素を用いることで、CO2排出量を抑制し、環境負荷の少ない製造工程の実現を目指す。

この炉は、2024年7月から2025年2月まで東刈谷事業場で実証実験を行い、溶解能力及び溶湯品質を評価したもの。従来の都市ガスと比較すると、水素火炎は燃焼範囲が狭く、材料の溶け残りが確認されたため、火炎の燃焼範囲に材料が集まるよう、溶解室をテーパー形状に改良した。生産した部品の品質は、従来炉と同等であることを確認済みだ。

ジェイテクトは、製造工程のうち、ガス燃焼によるCO2排出(Scope1)の削減を重要課題としている。この課題解決に向けて、グリーン水素の地産地消を目標に、水素の生成・保管インフラの整備と、水素を活用した燃焼技術の開発・実証を進めてきた。

2024年6月には本社敷地内に、水素技術の実証施設「CNラボ」を設置。太陽光発電による電力のうち、本社内で消費しきれなかった電力を用いて水電解を行い、水素を生成している。生成した水素は水素タンクや吸蔵合金ボンベに充填し、発電量・蓄電量・水素生成量をリアルタイムで監視・制御できるエネルギーマネジメントシステムを実証している。

2025年7月には本社事務本館1Fレストラン「ONLY ONE」に、リンナイとトヨタ自動車が共同開発した水素を燃料とする調理器「水素グリラー実証機」を導入した。燃料にはCNラボで生成したグリーン水素を使用しており、自社で生成した水素をその場で有効活用する体制を構築している。

花園工場での工場規模でのグリーン水素地産地消モデルを確立し、今後は他工場のアルミ鋳造工程へ展開することで、Scope1、2におけるCO2排出削減をさらに加速させる。ジェイテクトグループは、2030年環境行動計画に基づき、「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「ネイチャーポジティブ」の目標達成に向け、一丸となって取り組んでいく。

《森脇稔》

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