ハンコックタイヤは、メタンガスの熱触媒分解技術を専門とするフィンランド企業のロトブースト(ROTOBOOST)と覚書(MOU)を締結したと発表した。
タイヤ用途向けの低炭素フットプリント素材を共同開発し、世界的なネットゼロ排出と循環型経済の持続可能性目標に対応する。
タイヤの主要素材であるカーボンブラックは、化石燃料由来の原材料で二酸化炭素排出量が多い。ハンコックタイヤは「2050年ネットゼロ(温室効果ガス中立)」達成という長期経営戦略を支援するため、原材料調達段階でのCO2排出削減技術の開発に取り組んでいる。
今回のMOUを通じて共同開発する「ターコイズ水素カーボン素材」は、高温反応炉でメタンガスを分解して水素を製造する過程で生成されるカーボン素材。CO2排出量が大幅に少ない循環型素材として、特に低CO2排出が求められる自動車・タイヤ業界で注目されている。
この協力を通じて、ハンコックタイヤはターコイズ水素由来カーボン素材の材料特性の最適化、タイヤ複合材料での性能検証、製品性能を損なうことなく温室効果ガス排出強度を50%以上削減することを目指す。さらに、ライフサイクルアセスメント(LCA)と環境製品宣言(EPD)に基づく定量的検証フレームワークを確立し、原材料調達から製造までの全生産サイクルにわたる炭素削減効果を透明に検証する計画だ。
ハンコックタイヤは、国内外の主要機関や企業との戦略的パートナーシップを通じて持続可能な原材料開発を加速し、タイヤ業界における循環型経済の確立に貢献している。今回のMOUに先立ち、同社は5月から「大規模ターコイズ水素製造技術」に関する政府資金による国家研究プロジェクトに受益企業として参加を開始した。また1月には、産業廃棄物の砂や鉱山廃棄物を使用した循環型シリカを製造するため、ソルベイシリカとの共同開発プロジェクトを開始した。
2024年は「タイヤ・トゥ・タイヤ循環型経済モデル」コンソーシアムを通じて、使用済みタイヤから作られた熱分解油由来のISCC PLUS認証カーボンブラック3種の量産適用に初めて成功した。ハンコックタイヤはまた、SKケミカルズなどと共同でEV専用「iON」タイヤを開発し、韓国の業界初となる化学的リサイクルPETタイヤコードを商用化した。
ハンコックタイヤは、グローバル企業との戦略的パートナーシップを通じて石油資源への依存を減らし、天然資源の枯渇を防ぎ、炭素排出を継続的に削減することで、タイヤ業界の持続可能性を高めていく計画だ。




