パナソニックは12月15日、インド工科大学ボンベイ校交通システム研究室の教授監修のもと、ナノイー(帯電微粒子水)技術がドライバーに与える影響を科学的に検証し、運転中の集中力向上に貢献する可能性を明らかにした。
本研究は、危険が想定される運転環境下において、ナノイー技術がドライバーの認知・判断・操作に与える影響を一貫して分析した初の試みとなる。
交通事故の多くは、ドライバーの認知・判断・操作の誤りによる人為的ミスが原因だ。警察庁の統計によると、運転中に注意力が散漫になり、周囲の状況を適切に把握できない「漫然運転(ぼんやり運転)」が、死亡事故原因の第1位となっている。
パナソニックはこれまで、ナノイー技術の清潔(除菌・脱臭など)や美容分野での効果を中心に検証してきたが、今回の研究では新たな可能性を探るべく、ドライビングシミュレーターを用いて、運転環境における生体への影響を科学的に分析した。
本検証では、脳波およびアイトラッキングによる生体データと、アクセル・ブレーキなどの運転操作データを組み合わせて分析。その結果、複数の効果が確認された。
危険環境下で集中状態の高まりを示す脳波パターンを確認したほか、注視すべき対象への視線が安定し、不要な視線移動が減少した。
このことから、ナノイー技術は、ドライバーの集中力向上を支援し、運転パフォーマンス向上に寄与する可能性が示唆された。本研究は実車とは異なる試験条件下で、インド在住者を対象に実施されたものであり、日本国内でのさらなる研究が必要だ。
しかしながら、ナノイー技術は、運転をはじめとする高度な情報処理・操作を必要とする作業において、人の集中力を支援する技術としての発展が期待される。
パナソニックは、今後もナノイー技術の進化と可能性を追求し、安全で安心な空間の提供を通じて社会に貢献していく。




