ジョルダンは12月17日、デジタル庁が提供する「デジタル認証アプリ」を活用し、利用者の属性に応じた券種を購入できるモバイルチケットを開発したと発表した。
同社が提供する「乗換案内」アプリにおけるモバイルチケット購入時の認証プロセスを高度化。公的個人認証サービス(JPKI)を活用することで、ユーザーが登録した「Myデータ」(氏名・住所・生年月日等)の情報との一致を確認し、住民・観光客・子ども・大人・高齢者など利用者の属性区分を確認することが可能となった。
地域交通や観光分野では、「住民と観光客で価格を分けたいが、利用者の属性区分を正しく確認する仕組みがなく、不正利用リスクから導入できない」という構造的課題が長年指摘されてきた。
今回の開発により、本人確認によって住民・観光客などの属性区分を正確に確認できるため、住民には生活支援型価格、観光客には高付加価値の周遊パス、観光施設にはプレミアム入場パスなど、利用者属性に応じた適切な価格・商品を不正リスクなく提供できるようになる。
本機能は、マイナンバーカードの情報そのものを扱わず、一致確認のみに限定した安全性の高い構造を採用している。
地域交通を担うバス・鉄道事業者、観光協会・DMO、自治体観光部門、オンデマンド交通事業者、観光施設など、多様な関係者が共通して抱えてきた課題に対し、公的個人認証サービス(JPKI)の活用を通じて解決策を提供する。
具体的には、住所情報から住民・観光客、生年月日から子ども・大人・高齢者(シルバー)の属性区分を確認し、モバイルチケットで販売している対応券種の購入が可能かを確認する。これらの確認を通じて、利用者ごとに適切な価格のモバイルチケットを提示する新たな仕組みとなっている。
本機能がもたらすメリットとして、交通・オンデマンド交通、観光協会・DMOでは、観光客単価の向上に寄与するチケットを造成可能となり、観光収益を交通の財源として活用できる。また住民に対する生活移動の負担軽減を図れるほか、不正利用を排除した住民割・観光割の導入が可能となる。周遊行動データを活用した施策立案も可能になる。
自治体(観光課)では、公的個人認証サービス(JPKI)を活用した確認で安心感があり、来訪者への適正課金の根拠を確立できる。補助金・実証事業との親和性も高い。
観光施設・文化施設では、住民価格・観光価格の切り分けが可能となり、プレミアムパスや体験バンドルの商品化が容易になる。
今後の展開として、まず自治体・DMO・交通事業者との連携を進め、住民割や観光客向けパス、体験型周遊商品の実装環境を整備していく。あわせて、オンデマンド交通や観光施設との接続性を高め、移動と体験が連動する「地域回遊モデル」の構築を目指す。今後は宿泊・交通・体験を統合した三位一体型デジタルパスへと展開し、地域交通の持続性向上と観光収益の増加を同時に実現する地域の行動基盤として発展させていく。
ジョルダンの主要サービス「乗換案内」アプリは累計5400万ダウンロードを超えている。2024年5月8日にリリースした「乗換案内 version 6」は、公共交通に加えてレンタカー、シェアサイクル、キックボード、AI乗合オンデマンド交通などの新しい移動手段(ニューモーダル)を含む「トータル・マルチモーダル経路検索」に対応している。




