韓国ペルセウス、自動車向けハイパーバイザーで最高安全規格認証を取得…CPUとMCU双方は世界初

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韓国の自動車向け仮想化技術およびサイバーセキュリティ開発企業であるペルセウスは、自動車機能安全規格ISO 26262:2018において、最高水準であるASIL-D認証を取得したと発表した。

CPUハイパーバイザーとMCUハイパーバイザーの双方でASIL-D認証を取得したハイパーバイザー開発企業は、ペルセウスが世界初となる。両アーキテクチャ向けソリューションは、自動車業界が求める最も厳格な安全要件への適合性を示すとともに、パートナー各社に対し、自動車向け技術スタックへのハイパーバイザー統合において前例のない柔軟性を提供する。

今回の発表は、主要OEM各社がSDVの開発加速および車載サイバーセキュリティ強化のため、ハイパーバイザーの採用を進めると表明している流れを受けたものである。

本認証の取得は、ペルセウスがグローバル自動車メーカーおよびそのサプライヤー各社に製品を供給するために必要となる中核的な資格要件を満たしたことを意味する。CPUおよびMCUアーキテクチャ双方でのASIL-D認証取得を世界で初めて達成したことにより、ペルセウスは市場における明確な優位性を獲得した。

この認証取得により、新規パートナーとの連携機会の拡大や既存パートナーとの技術統合の加速に加え、新しいチップセットの市場投入にあわせたハイパーバイザーをより迅速かつ効率的に展開することが可能になる。これらの要素により、ハイパーバイザーの採用を検討する自動車ソフトウェア開発企業にとって、ペルセウスは有力な選択肢となる。

ペルセウスは、CEOのソ・サンボム氏により率いられる自動車ソフトウェア開発企業であり、市場をリードするハイパーバイザー技術に基づく仮想化ソリューションを通じて、車載システムの性能、信頼性、安全性の向上を実現している。

ペルセウスのハイパーバイザーは、既存のプラットフォーム構成やアプリケーションコードを変更することなく適用でき、障害発生時にはバックアップシステムへの自動フェイルオーバー機能を提供することで、自動車分野における安定かつ安全なシステム運用を可能にする。

ペルセウスは、グローバルトップ3の自動車メーカーの1社と2026年に初の商用製品を出荷する契約を締結しており、今回のISO 26262:2018 ASIL-D認証取得により、市場投入までの歩みがさらに加速することが見込まれる。

同社は、アーム、ルネサスエレクトロニクス、インフィニオンテクノロジーズ、NXPの公式パートナーであり、SDVエコシステムの発展を推進するSOAFEEの主要メンバーでもある。

さらにペルセウスは、ドイツのフラウンホーファー実験ソフトウェア工学研究所と共同で仮想機能安全検証プラットフォームを開発中である。このプラットフォームは、自動車分野における新技術の検証に必要なコストと時間の削減に貢献する。

ペルセウスは、韓国政府により同国を代表するディープテック企業の一つとして認定されており、産業通商資源部、中小ベンチャー企業部、科学技術情報通信部から支援を受ける4件の国家R&Dプロジェクトを遂行している。

既存の多くの車両モデルには、急増する車載システムを動作させるために、すでに2000個を超えるSoCが搭載されている。SDV時代が本格化すると、その数は少なくとも3倍以上に増加すると見込まれている。その段階に達すると、車載システムアーキテクチャは極めて複雑かつ非効率で高コストとなり、管理が困難になる。さらに、システムの複雑化はサイバーセキュリティリスクを飛躍的に高め、道路利用者の身体的安全を支える自動車産業にとって、到底容認できない水準のリスクとなる。

こうした複雑な課題を解決するのがハイパーバイザー。ハイパーバイザーは、仮想化技術を用いて単一のチップ上で複数のオペレーティングシステムを動作させることを可能にする。そのため、ハイパーバイザーは今後のシステム開発を支える上で、不可欠な中核技術になると見込まれている。もはや「ハイパーバイザーが必要かどうか」という問題ではなく、「どれだけ早く採用が進むか」という段階にある。すでに多くのOEMが、将来の車両ラインアップにおいてハイパーバイザーを採用する方針を公表しており、今回、CPUおよびMCUアーキテクチャ双方に対するISO 26262 ASIL-D認証を取得したペルセウスは、そうした需要に応える体制を整えている。

ISO 26262は、国際標準化機構により策定された、自動車用電気・電子システムの機能安全に関する国際規格である。

ASILは、自動車機能安全のリスク水準を示す指標で、A(最も低いレベル)からD(最も高いレベル)までの4段階に分類される。

ペルセウスは、自社のCPUハイパーバイザーおよびMCUハイパーバイザーの双方について、最高レベルであるASIL-Dの認証を取得した。ASIL-Dは最も厳格な基準であり、この認証取得により、ペルセウスは世界のハイパーバイザー開発企業の中でも市場をリードするポジションを確立している。

本認証の取得にあたり、ペルセウスは第三者認証機関であるDNVによる、包括的な技術およびプロセス面の審査を受けた。審査には、重要安全部品の特定、機能安全マネジメントシステムの構築、安全ライフサイクル全体にわたる完全なトレーサビリティ(フォールトインジェクションおよび冗長性検証を含む)の確立、さらには独立した機能安全アセスメントの実施が含まれる。

《森脇稔》

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