日立建機は、環境省が実施した国民公園「京都御苑」の駐輪場整備工事において、8トンクラスのバッテリー駆動式ショベルZE85と可搬式充電設備「Go-ENE」をレンタル提供し、試行工事に参画したと発表した。
環境省の直轄工事で日立建機のバッテリー駆動式ショベルが採用されたのは今回が初めて。歴史的景観や静粛性が求められる都市部の施工現場であることを鑑み、充電用電源の確保が困難な条件下において電動建機の運用フローの有効性を検証した。
試行工事の背景として、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「2050年カーボンニュートラル」宣言を表明している。この目標達成に向けて「GX実現に向けた基本方針」が策定され、建設施工の分野においても脱炭素化が推進されている。本試行工事は、環境省主導のもとで電動建機の運用フローの有効性を検証し、さらなる電動建機の普及・促進を図ることを目的としている。
日立建機が参画した試行工事では、3つの検証内容が実施された。
第一に、充電用電源が未整備のエリアで電力供給フローを検証した。可搬式充電設備「Go-ENE」を活用し、場所を選ばずに電動建機への充電を行う運用モデルを検証した。景観保護などの理由により固定式充電設備の設置が制約されるエリアでも、作業場所近くで充電が可能であり、充電のための移動距離を最小限に抑えられることを確認した。これにより、充電用電源が未整備の都市部の施工現場においても、可搬式充電設備を用いることで効率的な充電環境を構築できることを実証した。
第二に、静粛性と作業環境の改善効果を確認した。内燃機関を持たないバッテリー駆動式ショベルの特性により、稼働時の排気ガスと騒音が軽減されることを確認した。静粛性が求められる公園で、来苑者の快適性を維持しながら施工が可能であること、またエンジン音がないため作業員同士の声掛けや合図が明瞭になり、安全性向上にも寄与することを実証した。
第三に、実作業に十分な基本性能と実用性を確認した。バッテリー駆動式ショベルが、実作業に十分な基本性能と実用性があることを確認した。オペレーターからは「積み込み作業のような高負荷作業でも掘削力の低下を感じることなく円滑に作業を完遂でき、都市土木現場における機材として十分に実用的」との評価を得た。
日立建機グループは、本試行工事で得られた知見を活かし、環境省や関係各所と連携しながら、公共工事におけるカーボンニュートラル施工の普及・促進に貢献していく。




