小野測器は12月24日、走行中の車両挙動を高精度にとらえる「GPSベクトル速度計 LC-8220A」を発売したと発表した。
近年、自動車開発の現場では電動化や自動運転技術の進展により、乗り心地や操縦安定性がこれまで以上に重視されている。これに伴い、走行中の車両挙動を高精度に取得できる計測機器へのニーズが一段と高まっている。
今回リリースする同社のGPS速度計の最上位モデル「LC-8220A」は、従来製品に比べて衛星捕捉性能が大幅に向上。安定したデータ取得に加え、横すべり角(スリップアングル)の高精度計測を可能にし、試験現場で求められる「確かなデータ」を提供する。
GPS及びGLONASSに加え、LC-8220AではQZSS(みちびき・日本)、BeiDou(北斗・中国)、Galileo(EU)にも対応。受信可能な衛星数が増えたことで、計測中も衛星信号が途切れにくく、安定した捕捉性能を発揮する。テストコースのような開けた場所はもちろん、木々やビルが多い市街地、高架下、山林・オフロードコースなど電波環境が厳しい場所でも、安定した速度・距離計測を実現する。
GNSS受信機の刷新に加え、高精度IMUの採用や計測アルゴリズムの改良により、横すべり角の計測精度は従来の0.25°RMSから0.10°RMSに向上した(高精度IMU使用時)。
最大16chのアナログ出力機能を搭載し、必要な計測データを任意に出力できる。FFTアナライザーや電圧ロガーとの接続により、計測から解析、データ保存までをシームレスに統合。また、オプションでCAN出力にも対応し、外部システムとの柔軟な連携を実現する。
LC-8220A 1台で、直進速度・横速度・横すべり角・加速度・角速度など、操縦安定性試験でよく利用される30項目以上のデータを取得可能。多様な計測を集約し、効率的でスマートな計測環境を実現する。
操縦安定性試験・乗り心地評価試験、車両旋回性能(コーナリング性能)の評価、車両運動モデル構築のためのパラメーター計測、車両運動制御の適合試験、横滑り防止装置などの作動検証、制御パラメーターのチューニングなどに活用できる。




