AWLは12月24日、デンソー北海道が開発を進める環境監視用センサ技術と最先端エッジAI技術により、リアルタイム工場監視システムの主要機能となる複数センサ統合解析システムの開発を支援していると発表した。
AWLは、北海道大学発認定スタートアップ企業で画像認識のコア技術開発とエッジAIカメラソリューションを手がける。
近年、製造業における安全管理や品質保証の高度化は、労働力不足や生産効率向上の観点から喫緊の課題となっている。特に精密機器製造現場では、温湿度、ガス濃度、振動など複数の環境要因が安全や製品品質に直結するため、リアルタイムでの監視と異常検知が不可欠。その中で、火災や煙の早期検知は従業員や工場の安全確保に加え、生産装置への被害を最小化し復旧を早めることで事業継続計画(BCP)の面でも重要課題の一つだ。
従来のクラウド依存型監視システムでは、通信遅延やネットワーク負荷の課題で即時対応が困難だった。また、人による分析・判断を必要とするケースが多く労働力不足の解決とは相反することも課題であり、こうした背景からエッジAIによる現場処理が注目されている。
AWLは、工場安全管理システムの高度化に向けて、デンソー北海道が開発した複数のセンサから取得した温度、ガス濃度をはじめとする複数のデータをリアルタイムで収集し、エッジAIによる異常判定を実現する統合解析機能の開発を支援している。特に、火災や煙の早期検知を主目的とし、現場で即座に危険を察知できる仕組みを構築した。
このシステムは、クラウド依存を排除し、工場内ネットワーク上で完結する低遅延かつ高信頼性のアーキテクチャを採用。さらに、電源及び信号線の配線工事不要で長期間運用可能な「ポン付け」型デバイスとなっている。これにより、導入負荷を大幅に軽減し、様々な工場環境での迅速な展開が可能となる。加えて、将来的には多様なセンサとの連携により、ガス漏れ検知、設備異常や電流等のエネルギー監視など、無人でより幅広い安全管理機能を提供することを目指している。
本プロジェクトは、AWLが「J-Startup Hokkaido」に選定され、北海道経済産業局の支援のもとで実現したもの。特に、北海道経済産業局が推進する「地域企業間マッチング支援」により、AWLとデンソー北海道が連携し、現場DXの加速と安全性向上を目指す取り組みとなっている。この連携は、北海道発のイノベーションが国内外の製造業に広がることを期待される象徴的な事例だ。
この取り組みは、作業者のリスクをリアルタイムで検知し事故防止に寄与することで安全性を向上させるとともに、異常発生時の迅速な対応によって生産ライン停止のリスクを最小化し生産効率の改善に貢献する。さらに、デンソー北海道が主体となり道内企業と連携して開発・生産したセンサで取得するデータを、AWLが提供する先端エッジAI技術で活用する枠組みであり、地域産業の競争力を強化し製造業のDXを加速させる重要な一歩となる。
AWLは、今回の取り組みを皮切りに、火災検知を含む工場環境監視の高度化を支援するエッジAIソリューションを全国の製造業へ展開し、持続可能な生産体制の構築に貢献していく。




