電動モビリティのシェアサービスを展開するLime(ライム)は12月18日、警視庁および首都高速道路の協力のもと、首都高の出入口39か所にジオフェンシングを導入したと発表した。電動モビリティの首都高への誤進入防止を目的とする。
●位置情報に応じて自動的に進入を抑制
ジオフェンシングは、GPSなどの位置情報を用いて仮想的な境界を設定し、車両が対象エリアに進入すると自動的に速度抑制やモーター停止などの制御を行なう技術だ。利用者が特別な操作を行なう必要がなく、判断ミスによる誤進入を防止できる。
今回の導入は、2025年2月に開始した「首都高速道路への誤進入防止」取り組みを発展させたものだ。ライムによると、ジオフェンシング技術を用いた電動モビリティの誤進入防止は、日本国内の電動モビリティサービスとして初の事例だという。
●3%が誤進入
首都高出入口ほか14か所で運用されていた8月には、全体の約3%に相当する車両が、走行禁止エリアへの進入直前でジオフェンシングにより未然に進入を防止できたという。
導入エリアは東京都23区内で居住人口の7割以上が暮らす地域をカバーし、都市部における実効性の高い安全対策と期待されている。
首都高におけるジオフェンシング設定箇所(39か所)
●交通ルールに不慣れ、ナビの誤用
警視庁高速道路交通警察隊交通規制係は、「高速道路への立入抑止効果だけでなく、外国人など日本の交通ルールに不慣れな人の、首都高速が走行禁止エリアであることの『気づき』に繋がる」点を評価している。
首都高速道路保全・交通部交通安全推進課も、誤進入の要因として「日本の交通ルールに不慣れな外国の人や、ナビアプリの間違った利用が多くを占めている」ため、「利用者に依存しないジオフェンシング技術に期待」している。
●東京・渋谷センター街に新設定
ジオフェンシングは首都高出入口のほか、明治神宮、代々木公園、皇居周辺などの公園・観光地、「渋谷ハロウィーン」や「東京2025世界陸上競技選手権大会」などの大規模イベント開催時にも設定されている。
12月は夜間の人出が増加し、移動時の安全確保が求められる時期だ。ライムは街の状況に応じて、電動モビリティの安全運用を強化しており、12月2日、東京・渋谷エリアでジオフェンシングを新たに導入すると発表している。
繁華街の渋谷では、センター街はじめ夜間の歩行者密度が高く、人出が増える時期に注意が必要となるエリアが点在している。こうした状況から、渋谷センター街にジオフェンシングを設定し、車両が進入した際に自動的に制御する仕組みを導入する。




