メルセデスAMG史上最も野心的なモデルが、独ニュルブルクリンクの濡れた路面でテスト走行中に目撃された。2026年のデビューが予定されているこのフルEVの猛獣は、『GT4ドアクーペ』の流れを汲むリフトバックボディを採用している。
メルセデスAMGが『C590』と呼ぶこのフルEVモデルは、プラグインハイブリッドV8エンジンを搭載するGT4ドアクーペの兄弟車であり、メルセデスAMGの新型専用プラットフォーム上に構築される。5ドアセダンでありながら、フロントガラスから傾斜したルーフラインへと続くプロフィールが、クーペのような美しさを醸し出している。
ニュルで捉えたプロトタイプは、フロントとリアのホイールデザインが異なり、フロントにはブロンズ塗装のブレーキキャリパーが装着されている。フロントフードのカモフラージュは、ボンネットのベントを示唆しているが、その目的は不明だ。
315/35と275/35の21インチタイヤを装着したC590は、EQテクノロジーを採用した改良型『CLA』と、その48Vハイブリッドモデルで導入された、スリーポインテッドスターLEDシグネチャーを採用している。さらによく見るとフラッシュマウント・リアスポイラーを装備していることも分かる。また、フラッシュマウントハンドルに加え、最適な空力バランスを確保するコンタード・アンダーフロアも装備されている。
メルセデスAMG GT EV プロトタイプ
キャビンに関しては、CLAのMBUXハイパースクリーンよりも、より洗練されたデュアルディスプレイが期待されている。おそらく、10.25インチのデジタル・インストルメントクラスターには、マルチメディア機能を備えた14.0インチのタッチスクリーンが組み合わされる。ステアリングホイールはモータースポーツの影響を色濃く残すヨーク型となる。
メルセデスAMG GT EV プロトタイプ直冷式バッテリーを搭載したC590には、シラ・ナノテクノロジーズ製のシリコンアノード設計が採用されると噂されている。グラファイトアノードと比較したシリコンアノードの主な利点は、シリコンによって得られるエネルギー密度が20~40%高いことだ。シラ・ナノテクノロジーズ社によると、シリコン原子1個で4個のリチウムイオンが結合できるとのことだ。シリコンアノードはグラファイトアノードよりもリチウムイオンの出し入れが速いため、超高速充電も期待でき、エネルギー密度の高いバッテリーセルの採用により、バッテリー全体の重量もある程度軽減される。
モーターは1341ps以上を発揮し、360km/hを超える速度を実現する。メルセデスAMG史上最強となるGT EVクーペのワールドプレミアは、2026年と予想され、この車が高性能電気自動車の新たな基準を確立するのは間違いない。




