別タンク式車高調はなぜ高性能?ストロークと減衰力が安定する理由~カスタムHOW TO~

別タンク式車高調はなぜ高性能?ストロークと減衰力が安定する理由~カスタムHOW TO~
別タンク式車高調はなぜ高性能?ストロークと減衰力が安定する理由~カスタムHOW TO~全 2 枚

高性能サスペンションに多い「別タンク式車高調」。タンクが伸びていたりホースで繋がっていたりするが、なぜ高性能モデルに多いのか。メリットを解説する。

【画像全2枚】

◆減衰力はオイルとガスで生まれる、別タンクの前提知識

サスペンションはオイルの中をれんこんのような穴の空いたピストンバルブが動いていて、その抵抗で減衰力を発生させている。沈み込むときにオイルの中をピストンバルブが下がっていくが、そのときにシャフトもオイルの中を下がっている。となると、このシャフトの体積分だけオイル室の容量が増えてしまう。そこでその増えるオイル室の体積を受け止めているのが窒素ガスである。

単筒式車高調の場合、正立式でいうと上からオイル室があり、下にガス室がある。この間はフリーピストンという名のゴムの仕切り板が入っていて、オイル容量が増えるとフリーピストンを押し、このフリーピストンがガスを圧縮する。

複筒式車高調の場合は、オイル室の下端にベースバルブと呼ばれるオイルの通路を制限するバルブがあり、そこから通り抜けたオイルがシリンダーとシェルケースの間に溢れ出る。このスペースに窒素ガスが入れられている。複筒式の場合はオイルとガスは仕切りがない。

どちらも沈み込んでいくとガスが圧縮されてガス圧が上がる。そうなると徐々に沈み込みにくくなってくる。ストロークが深くなるほど硬くなってくる。それを防ぐためにできるだけオイルの容量とガスの容量を確保したい。だがスペース的に限界がある。また単筒式はストロークした先にガス室があるので、ストローク量が短くなってしまう。

◆別タンク式サスペンションの構造、なぜ高性能モデルに多いのか

ならば別のタンクを付けて、そちらにガスやオイルを入れてしまおうというのが別タンク式サスペンションである。単筒式の場合、別タンク内にフリーピストンとガス室があり、ホースなどでオイルが行き来する構造。こうなるとストローク量を大きく取れるし、オイルもガスの容量も増やせるので、ストロークした先でも理想的な動きをしやすくなる。複筒式でも同様で、別タンクにガスの容量を十分に取れることで、安定した減衰力を発揮することができる。このストローク量が長く取れること、そしてオイルとガスの容量が大きく取れることが別タンク式のメリットである。逆に言えば別タンク式だからといって、しなやかだとか乗り心地が良いというイコールにはならない。

大きなストロークをしたときに普通の車高調だとフルバンプしてしまう場面でも、別タンク式はストローク量が長く取れるのでガツンと底付きしにくいということはある。だが普通に街乗りをしていて別タンク式だからといって、自動的にしなやかで乗り心地が良いということにはならないのだ。だがオイル量がたくさん取れれば、オイルの温度も上昇しにくい。温度上昇による減衰力の変化も小さくなるなど、いろいろなメリットはある。そういった上質な性能を出しやすい構造であることは間違いない。

◆別タンクが“正義”ではない、街乗りと競技での考え方

レースやラリーではストローク量を多く取るためと、安定した性能を発揮させるために別タンク式サスペンションが使われることが多い。だが別タンクがないからといって性能が低いわけではない。ストローク量が十分に確保されていれば問題ないし、オイルやガスの容量も十分にあればOK。むしろ別タンクがない分だけ重くもならない。別タンクに接続する部分のジョイントからオイル漏れが起きる可能性もある。そういったリスクヘッジを考えると、よりシンプルな構造の別タンクのないサスペンションも十分にアリである。

現在では別タンク式サスペンションはかなり高価なものが多いが、テインのスーパーレーシングやFS2、スピリットショックスの別タンク式モデルなど、比較的手の出しやすい価格のモデルも販売されている。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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