フィアット初のBEVとして『500e』の日本仕様が発表されたのが2022年4月(発売は同年6月から)。もともと直接のライバルが存在しない希少車だが、街中で見かけると、いかにも「チンクだからこのクルマを選んだ」といった風のコダワリ派のオーナーが乗っている印象だ。
試乗車はICE時代に“チ(C)”と呼んだ電動開閉式ソフトトップ仕様の“オープン”。FIATのモノグラムを一面の柄にしたトップとオーシャングリーンのボディ色の、限定車か!?と思わせられるコーディネーションは、標準車ながら特別感を漂わす。以前、別の取材で乗ったことがある個体だったが、相変わらずのハイセンスぶりは変わらない。インテリアも同様で、限りなく白に近いFIATのモノグラムパターンのエコレザーシートは縫製もしっかりしており質感も満足できる。
フィアット500e OPEN
さて実際の走りだが、今回、暫くぶりに試乗しながらいろいろと思うところがあった。
『500』のICEを2台(最初期の1.2とツインエア)乗り継いだユーザーの1人としてあくまで愛情を込めて(!)率直に書くと、その後、新しいBEVも増えた中、電動パワートレイン系のマナーや音で、登場時には気にならなかったが今乗ると「おや!?」と思わせられる事象も。たとえばクセ強なワンペダルドライブ(RANGE、SHERPAで停止後の再発進時に頑ななアクセルペダルの抵抗感がある)や、加速時に耳に届くヒューン音などは他のBEVより目立つといえばそうだ。
また乗り味も、カッコはいいがいかにも大径の17インチホイール&タイヤと2320mmのショートホイールベースによるピッチングを“実感”するところ。ただしこれは導入時の自分のレポートを読み返すと書いていた当初からのことで、相変わらずといえばいいか。
フィアット500e OPENとはいえソフトトップを開けると(構造部材としてほとんど影響はないはずだが)路面からの入力が僅かに緩和され、ハッチバックに対して後席後ろに構造部材が増える分、オープンながらボディ剛性そのものは屋根ありのモデルにそう遜色のないレベルが確保されている。このため走行中にブルブルとボディが震える感じは案外となく、乗り心地・NVH評価担当者の我が家のシュンも「我が家のチンクよりも快適じゃん」と、時折空を眺めながら問題なさそうに試乗していた。
公共の急速充電で使うCHAdeMOアダプター(実測で4.7kgほど)は取り扱うにはなかなかの大きさ、重さ。見た目にも“あの人はゴソゴソと一体何をやっているのだろう?”と見られている気がしないでもない。が、まずアダプター本体を充電器側のケーブルと接続した後、クルマのポートに差し込む手順をとれば、エラーも起こさずスムースに充電するための接続が完了した。
フィアット500e OPEN■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。




