ルノーのEV実験車『フィラント』、10時間で1000km超を走破…充電なしで新記録

ルノーのコンセプトEV『フィラント』
ルノーのコンセプトEV『フィラント』全 10 枚

ルノーは、コンセプトEV『フィラント』で新たな効率記録を達成したと発表した。モロッコのUTACテストトラックで実施した挑戦で、充電なしで1008kmを走破。平均時速102kmを維持しながら、消費電力は7.8kWh/100kmという驚異的な数値を記録した。

【画像】ルノーのコンセプトEV『フィラント』

ルノーが2025年初頭に設定した目標は、電動SUV『セニック』と同サイズの87kWhバッテリーを搭載した電気自動車で、現実的な高速道路の速度で1000km以上を充電なしで走行することだった。

今回の記録達成には、単に長距離を走行するだけでなく、平均時速110km以上を維持するという厳しい条件が課されていた。目標は技術的な停止とドライバー交代を含めて10時間以内に1000km以上を走破することで、最終的には9時間52分(ドライバー交代の7分を除く)で1008kmを達成した。

フィラントは、空力性能の最大化、軽量化、素材の最適化という3つの要素を徹底的に追求して開発された。デザインは1925年の記録破りの「40CV」や1956年の「エトワール フィラント」へのオマージュを込めた独特の紫外線ブルーカラーを採用。航空機からインスピレーションを得たデザインで、コックピット上の保護バブルは戦闘機を、ドライバーポジションはF1マシンをモデルとしている。

技術面では、電子制御ステアリングとブレーキシステム(ステア・バイ・ワイヤとブレーキ・バイ・ワイヤ)を初めて採用。カーボンファイバー、アルミ、3Dプリント製スカルマロイなどの超軽量素材を広範囲に使用した。また、ミシュランが特別に開発した低転がり抵抗タイヤも空力性能の向上に貢献している。

2024年冬のレトロモビルで公開された初期バージョンは、その後の風洞実験で大幅な最適化の余地があることが判明。チームはフェアリングの形状を見直し、車輪に直接取り付ける構造に変更することで、シルエットをより軽快にし、空気の流れを大幅に改善した。

記録挑戦当日は、エンジニア、デザイナー、パートナー企業、そしてルノーグループの3人のドライバー(コンスタンス・レロー=レイゼール、ローラン・ユルゴン、アルチュール・フェリエール)が一丸となって臨んだ。午前8時にローラン・ユルゴンがスタートし、3時間20分後にコンスタンス・レロー=レイゼールに交代。4時間の走行後、アルチュール・フェリエールが最終区間を担当し、日没時にゴールした。

走行終了時点でバッテリー残量は11%あり、時速100km以上で残り120kmの走行が可能だった。この結果は、単なる技術的な実験にとどまらず、今後の市販電気自動車の開発に活かされ、高速道路での持続的な高速走行など、最も厳しい条件下でも顧客の実際のニーズにより近い性能を実現することを目指している。

ルノーは、パワートレインとシャシー、カーボン構造を開発したリジェ、専用の低転がり抵抗タイヤを開発したミシュランなどのパートナーとの緊密な協力により、この記録を達成している。

《森脇稔》

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