NTTドコモビジネス、A-Drive、ドコモ・テクノロジ、スタンレー電気で構成されるコンソーシアムは、千歳市、公立千歳科学技術大学、アイサンテクノロジー、東海理化、スマートモビリティインフラ技術研究組合と、自動運転バスの走行に関する実証実験を1月14日に開始した。
本実証は、総務省の令和6年度補正予算「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」に採択されたもので、豪雪・寒冷地特有の課題を解決する次世代型自動運転サービスの確立をめざす。
北海道千歳市は、冬季の降雪や積雪といった豪雪・寒冷地特有の環境が交通に深刻な影響を及ぼす地域だ。積雪に伴う視界不良や道路閉塞は、自動運転の安定運行にとって大きな課題となっている。さらに、全国的なバスドライバー不足により路線バスの減便や廃止が相次いでおり、千歳市においても持続可能な公共交通の確保が喫緊の課題だ。
一方で、千歳市には公立千歳科学技術大学や新千歳空港、さらには建設中の大規模半導体製造工場が立地しており、今後は通勤・通学・来訪者を含めたバス利用者の増加が見込まれている。
本実証では、豪雪・寒冷地特有の自然条件においても安定的かつ持続可能な公共交通サービスを実現するため、自動運転バスの実装に必要な技術検証を行う。特に、積雪、気象条件の急変といった寒冷地特有のリスクに対しても安定した自動運転を継続するため、通信の安定性確保および路車協調データの2つの観点から多角的に実証を行う。
実証場所は北海道千歳市の千歳市役所周辺(仲の橋通、東大通)および千歳駅、新千歳空港、美々地区(千歳科学技術大学、Rapidus付近)。自動運転車両は自動運転レベル2のいすゞ自動車製『エルガ』を使用する。
運行期間は、1月14日から1月24日まで(日曜除く)。乗車場所は新千歳空港国内線ターミナル(南)許可車乗降所。運行区間は、新千歳空港から千歳駅西口(循環)で途中停車所はママチ公園前、千歳市役所前、および新千歳空港からRapidus前(循環)で途中停車所は千歳科学技術大学前となる。遠隔監視システム設置場所はNTTドコモ北海道ビルだ。
本実証では、IOWN APNや高度WiGigといった最新の通信技術を活用し、走行中の膨大なセンサーデータを低遅延に伝送する仕組みを検証する。加えて、キャリア5G/LTE回線に5Gワイドによる優先制御を適用することで、電波状況が変動する環境下でも車両制御に必要な情報を安定的に送受信できることを確認する。
また、docomo MECを活用して地域内でデータ処理を行い、積雪や除雪状況を反映した3Dマップを迅速に生成・更新することで、寒冷地における路面状況をきめ細かく把握しながら安全走行を可能とする通信・制御基盤の有効性を検証する。
さらに、道路灯や信号機からリアルタイムに取得する積雪・路面情報と、車載のLiDARや車両センサー情報を統合し、docomo MEC上でリアルタイムに処理することで、自動運転における走行経路や制御に反映させる。これにより、積雪状況や除雪作業の進捗に応じて走行経路を柔軟に変更できるかを検証する。
突発的な降雪や気象条件の変化にも即時に対応するために、取得した情報を統合反映できる仕組みを構築することで、豪雪・寒冷地に適応した安定的な自動運転サービスの実現可能性を確認する。
本実証を通じて、豪雪・寒冷地における自動運転バス運行に必要な技術的課題を抽出・検証し、安定走行モデルを確立することをめざす。得られた知見は千歳市のみならず、北海道内や全国の豪雪地帯における自動運転バスの社会実装に向けて貢献するとともに、自動運転レベル4の早期実現に向け、産学官が連携しながら、寒冷地に適応した次世代型公共交通モデルの社会実装を推進していく。
また、IOWN APN、高度WiGig、docomo MEC、5Gワイドといった先端通信技術の活用は、将来の商用自動運転サービスにおいて、遠隔監視や遠隔制御等、いつでも繋がる安定性と高いセキュリティを両立した大容量のデータ伝送を実現するための不可欠な技術要素であり、NTTドコモビジネスは2027年度までに全国規模での展開を見据えている。
さらに、新千歳空港を起点とした安定輸送や大規模産業拠点へのアクセス確保を通じて、地域経済や生活の持続可能性の向上にも寄与する。
本実証では、技術検証に加え、社会受容性の向上を目的とした取り組みも実施する。自動運転バス車内にタブレット端末を設置し、公立千歳科学技術大学小林研究室が開発したAndroidアプリを通じて、空港利用者や新千歳空港に発着する航空便利用者に必要な情報を提供し、その効果を検証していく。
提供情報の例として、新千歳空港のフロアマップでは、空港内の主要施設やサービスカウンターの位置を直感的に把握できるフロアマップを提供する。さらに、バス停留所から保安検査場や商業エリアまでの最適ルートについて、動画景色のガイダンスを含む視認性の高い形式で提示し、初めて空港を利用する方にも分かりやすい情報提供を実施する。
また、新千歳空港発着便の運航情報では、日本航空の運航情報システムとAPI連携し、リアルタイムで最新の便情報を表示する。利用者は移動中でも航空便の出発・到着時刻やゲート情報、遅延状況を確認でき、空港内での移動や時間管理の精度向上に寄与する。
タブレット操作体験を含む利用者アンケートを実施し、情報の有用性(利便性・安心感)、ユーザインタフェースの操作性、自動運転バス利用に対する心理的ハードルの変化、サービス全体の満足度や今後の利用意向、利用者属性ごとのニーズや課題の把握といった観点で評価する。
今後、調査結果をもとに、社会受容性向上に向けた具体的な改善策を検討する。今回の実証で社会受容性向上に寄与すると判断された領域については、協業パートナーを募り、サービス化をめざす。これにより収益化を図り、地域公共交通の持続的な運営を実現する。




