ダントツの氷上性能を引っ提げた「BLIZZAK WZ-1」意外なドライ性能に驚く…諸星陽一

ブリヂストン「BLIZZAK WZ-1」試乗
ブリヂストン「BLIZZAK WZ-1」試乗全 41 枚

ブリヂストンは2025年7月に、最新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1(ブリザック ダブルゼットワン)」の試乗会を開催した。新横浜スケートセンターでのアイス試乗と、周辺道路でのドライ試乗のレポートをお届けする。

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ブリヂストン「BLIZZAK WZ-1」試乗ブリヂストン「BLIZZAK WZ-1」試乗

◆スタッドレスタイヤとは思えない、オンロードでの操縦安定性

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最初のレポートは一般的なサマータイヤとのドライ比較試乗。比較用に用意されたタイヤは「ニューノ」。ニューノはブリヂストンのタイヤラインアップのボトムラインで、もっともベーシックなタイヤ。テスト用に用意されたクルマはトヨタ・ヤリス。タイヤサイズは185/65R15。まずニューノで指定されたコースを走る。コースは市街地で少し荒れた路面などもあり、フィーリングチェックにはピッタリだ。

まずニューノを履いたヤリスに乗ったのだが、これが思ったよりいい。ブリヂストンのベーシックタイヤというとエコピアが使われることが多く、ニューノに乗るのは初めてのこと。ニューノはエコピアと比べると静粛性も高く、グリップ感も高い。価格もリーズナブルということなので、なかなか優れたタイヤである。

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なかなかの性能を披露してくれたサマータイヤのニューノだが、スタッドレスタイヤのブリザックWZ-1と比べると見劣りしてしまう。そう、スタッドレスタイヤがサマータイヤよりもドライ性能がいいというのは驚きだ。まず静かである。一般的にスタッドレスタイヤはパターンノイズなどが目立つ傾向にあるが、ブリザックWZ-1は気になるようなパターンノイズもない。路面の継ぎ目などで突き上げられる際のショックも少ない。

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また、スタッドレスタイヤはコンパウンド(トレッド部分のゴム)が柔らかく、ステアリングを切ったときの手応えも緩慢になりがちだが、ブリザックWZ-1はニューノよりもそうした手応えがしっかりしている。とくに低速でステアリングを切っていったときにニューノは一瞬手応えが抜けるような感覚を覚えるのだが、ブリザックWZ-1はどのステアリング切れ角であってもつねに安定した手応えを示してくれる。

ブレーキの効きはブリザックWZ-1のほうが上。一般公道での試乗だったので強いブレーキは踏んでないが、ニューノよりもよく停まる。一般道、低速でのブレーキなのでコンパウンドの柔らかさが大きく効いているのだろう。だからといって、ブレーキを踏んだ瞬間や停まった瞬間に“グニャ”っとすることなく、安心感が高い。

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オンロードの試乗はヤリスでの比較試乗に加えて、アウディQ5での試乗も用意された。タイヤサイズは235/55R19だ。ヤリスは決められた約6.5kmのコースを走るパターンであったが、Q5は高速道路をメインにしっかりと試乗した。もともと静粛性の高いQ5なので、ノイズについてどう感じるか?が興味深かった。というのもクルマが静かだとタイヤノイズが目立つことが多いからだ。

もちろん、静かなクルマはタイヤノイズの侵入にも気をつかった設計がされていることも忘れてはならない。それにしても静かであるのは明白。Q5+ノーマルタイヤがどれくらい静かだったかは明確に覚えてないが、スタッドレスタイヤを履いてうるさくなったという印象は一切ない。

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さてハンドリングはどうだろう。2トン前後の車重を持ち重心も高めの輸入SUVとスタッドレスタイヤの組み合わせとなれば、慎重に運転したくなるものだが、比較的速度が高く旋回半径が大きなコーナーでは何の不安感も感じることがなかった。そこで安心ができたこともあり、速めの速度で切れ角が大きめ転舵速度も速い車線変更を試みてもやはり安定している。もうドライ性能については文句なしで、サマータイヤなみの性能を確保していると言える。

◆氷上性能はさらに進化、ここ一番の効きが違う

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さて、肝心のアイス性能である。真夏のこの時期に氷上テストを行える場所は少なく、スケートリンクにて試乗となった。プログラムは前作のブリザックVRX3と新作のブリザックWZ-1の比較試乗。アクセルペダルを調整しながら加速していくパートではWZ-1のほうがアクセル操作に対して敏感に反応する。もちろん踏み込み過ぎはトラクションコントロールが働くが、そのタイミングがWZ-1のほうがワンテンポ遅い。つまりWZ-1のほうがトラクションコントロール領域に入りにくいわけだ。

アクセルペダルを戻したときの反応も同様で、WZ-1のほうがグリップ回復が早い。このため加速を終了しフルブレーキングするように指定された地点での速度はWZ-1を履いたヤリスが速くなってしまい、ブレーキで制動距離が伸びてしまった。チェックのため乗り直して速度を合わせたらWZ-1装着車のほうが半車身ほど短く停止できた。

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アクセルペダルを調整せずに床まで踏み込んで加速するパートでもWZ-1のグリップ力の高さが目立った。トラクションコントロールが働くと一瞬加速Gが抜けるのだがその回復がWZ-1のほうが高く、やはりゴール地点到達時の速度が速くなり、それが原因で制動距離が伸びる。速度を合わせればやはりWZ-1のほうが制動距離は短い。

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空転を抑えるためにアクセルを抜く、ブレーキの効きを上げるためにブレーキを緩めるといった縦方向のグリップ回復はかなり急激なもの。速度が高い領域では発生しない変化なので危険度はなく、どちらもグッと効いてくれることがかえって安心感につながるほどである。

◆思ったラインをトレースできる安心感

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スケートリンク内にはパイロンで作られたサークルがあり、そこを時計回りに旋回しながらフィールをチェックするというパートもあった。わずかながらWZ-1のほうが速い速度で円旋回が可能だ。磨きあげられたスケートリンクの氷上でのことなので、さほど大きな差はでなくて当たり前。

速度での差は少なかったが、フィーリングの差はそれなりにあった。加速、減速の際と同じようにアクセルを戻したときのグリップの回復がWZ-1のほうがよく、アクセルを踏みすぎて外に膨らんだ際も、アクセルを戻すとWZ-1はスムーズにラインに戻ってきてくれる。VRX3では戻らないような状況でもWZ-1だと戻ってきてくれる。これはステアリング操作での変化でも同様だ。

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面白いのは加速、減速といった縦方向のグリップ回復はけっこう急な印象だったのに、コーナリングという横方向のグリップ回復は穏やかな動きとなっている。つまり、急に止まるという状況ではグリップがガツンと効き、横滑りを起こすという行為では穏やかに滑って穏やかに回復するということ。この傾向は氷上走行では非常に扱いやすいものだと言える。

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今回のドライ試乗、アイス試乗での印象を一言でまとめると「スタッドレスタイヤとして十分なアイス性能を持ちながら、オールシーズンタイヤ的な汎用性も持ち合わせる新しいブリザック」といえる。非常に路面温度が高いドライ路面でも、ツルツルのアイス路面でもしっかりした性能を発揮するところには驚かされた。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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