86/BRZで話題! ボルトオンターボの仕組みと費用感を現実目線で整理する~カスタムHOW TO~

86/BRZで話題! ボルトオンターボの仕組みと費用感を現実目線で整理する~カスタムHOW TO~
86/BRZで話題! ボルトオンターボの仕組みと費用感を現実目線で整理する~カスタムHOW TO~全 4 枚

ボルトオンターボはNA車の出力を手軽に底上げできる反面、燃料系や熱対策が必須。仕組みと費用、注意点を整理する。

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◆NAと過給の基本

NA(自然吸気)エンジンはピストンが下がることで生まれる負圧で空気を吸い込み、そこへガソリンを噴射して燃焼させる。吸い込める空気量は基本的に排気量と連動するため、排気量が大きいほど空気と燃料を多く使えてパワーとトルクを得やすい。

一方で燃焼室に圧力をかけ、より多くの空気を押し込むのがターボやスーパーチャージャーといった過給器の役割だ。

・ターボ:排ガスのエネルギーでタービンを回し、その回転で吸気を加圧する
・スーパーチャージャー:クランクシャフトから回転力を取り出し、機械的に吸気を加圧する

一般的にはメーカー純正で装着されることが多いが、一部車種ではNA車に後付けできるチューニングパーツとして、ターボ/スーパーチャージャーのキットも存在する。今回はその中でも「ボルトオンターボ」を扱う。

◆ボルトオンターボの仕組みと装着ポイント

ターボは排ガスのエネルギーを利用してタービンを回し、吸気を押し込むシステムだ。排気エネルギーを活用できるため効率面で有利とされる。

装着で重要になるのは「できるだけ排気の流速が高い場所にタービンを置く」こと。つまりエンジンに近い位置にタービンを配置した方が反応や効率の面で有利になりやすい。そこで一般的には専用のエキゾーストマニホールド(エキマニ)を用意し、そこにタービンを取り付けて回転力を得る。

そのためボルトオンターボは、純正エキマニを専用品に交換し、そこへタービンを装着する構成が多い。取り付けには専用エキマニが必要となる。

◆費用感と得られる効果

このエキマニをワンオフ(1台ずつ)で製作することになると、プロショップのチューナーによる手作業が必要になり、コストが大きく跳ね上がる。そこでHKSなどのアフターパーツメーカーはターボ用エキマニを量産化し、比較的現実的な価格帯でキット化している。

例えばトヨタ『86』/スバル『BRZ』の場合、ターボキットが約90万円で、取り付け工賃などを含めると合計で約150万円程度が目安になる。決して安くはないが、ノーマルの1.5倍以上のパワーを狙えるケースもあり、費用対効果の魅力は大きい。

ターボキットを装着すると、排気エネルギーで得た回転力により吸気を加圧できる。空気を多く押し込めれば、その分だけ燃料も増やせるため、より大きな燃焼エネルギーを得られる。考え方としては、NA車で排気量アップに近い効果を得るイメージだ。

◆デメリット 燃料系と直噴の限界

一方で大きな論点になるのが「押し込んだ空気に見合う燃料を、どこまで確実に増やせるか」だ。

86/BRZのように直噴インジェクターとポートインジェクターを併用する方式なら、ポート側の噴射量を増やすなどの手段が取りやすく、大幅なパワーアップにも対応しやすい。

しかし、直噴のみのエンジンでは燃焼室に直接取り付けられた直噴インジェクターの噴射量を増やす手段が中心になる。ここには上限があり、直噴インジェクターの噴射が頭打ちになると、それ以上のパワーアップが難しくなる。

直噴インジェクターは燃焼室内の空気流や噴霧形状まで含めて設計されているため、従来のポートインジェクターのように「大容量品へ気軽に交換」とはいきにくい。正確には、一部のショップデモカーでは他車種の大容量直噴インジェクターを流用している例もあるが、長期の影響や副作用が完全に整理されているとは言い切れない。結果として、一般ユーザー向けのチューニングメニューとしては、まだ広く提供されにくいのが現状だ。

さらに燃料不足はエンジントラブルに直結しやすい。直噴エンジン車両では「インジェクター容量が実質的な上限」になりやすい点を理解しておきたい。

◆安全に楽しむための対策と注意点

とはいえ、インジェクター容量を超えるような大幅なパワーアップを狙う段階では、ピストンやコンロッドの強化が必要になることもあり、ここから先は費用もリスクも一気に上がる。

市販のボルトオンターボキットは、こうした上限や安全域を踏まえて設計されていることが多い。規定どおりに取り付け、必要な補機類とセッティングをセットで行う限り、トラブルは起こりにくい。

信頼性を上げるために、最低限押さえたい対策は次のとおり。

・燃料:燃料系の余裕確認(ポンプ容量、噴射率、燃圧の管理)
・制御:ECUセッティング(空燃比、点火時期、ノック対策)
・熱:冷却と排気温度対策(インタークーラー、オイル管理、遮熱)
・駆動系:クラッチ/ATの許容、デフやミッションへの負荷の把握

86/BRZで約150万円程度のコストがかかるとしても、同等の費用でNAのまま同じだけのパワーとトルクを引き出すことは現実的ではない。その意味でボルトオンターボはコストパフォーマンスが高いチューニングといえる。むしろ現在、市販のNA車用ボルトオンターボキットは対応車種が限られるため、該当車種に乗っているなら「キットで安全域を押さえた過給チューンに踏み出せる」こと自体が大きな魅力になる。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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