【スズキ ジクサーSF250 試乗】「扱い切れる」は「物足りない」ではない! 懐の広さが光る良質なライトウェイトシングルだ…伊丹孝裕

スズキ ジクサーSF250
スズキ ジクサーSF250全 46 枚

スズキの250ccロードスポーツ『ジクサーSF250』に試乗。サイズ、パワー、ハンドリングのすべてが手の内にあり、それでいて物足りなさもない良質なライトウェイトシングルに仕上がっていた。

【画像】スズキ ジクサーSF250

◆評価されるべき「軽さ」と「スリムさ」

スズキ ジクサーSF250の250cc 油冷シングルSOHCエンジンスズキ ジクサーSF250の250cc 油冷シングルSOHCエンジン

ジクサーSF250は、2020年4月に発売された。その前年、「東京モーターショー2019」のブースでエンジンだけが披露されたわけだが、冷却方式には油冷を採用。1401ccの油冷直列4気筒を積む『GSX1400』(2008年)以来の復活が話題になった。

大排気量でもマルチシリンダーでもなく、一概に油冷と言ってもかつてのものとは構造が大きく異なる250ccのSOHCシングルを新規に開発。それをスチールパイプフレームに懸架し、フルカウルを与えつつ装備重量を158kgに抑えている。

ノンカウルだったかつての油冷シングル『グース250』(1992年)は、139kgの乾燥重量を公称しており、装備重量だと157kgほど。なにかと肥大化を余儀なくされる現代のモデルの中にあって、ジクサーSF250の軽さとスリムさは評価されるべき数値と言える。

◆見晴らしのよさとシャープなスタイリング


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シートにまたがって印象的なのは、まず見晴らしのよさだ。過度な前傾を強いられないセパレートハンドルの前方にはフライスクリーン、もしくはメーターバイザーと表現しても差し支えない程度のウインドスクリーンが備えられている。極めて控え目なサイズながら、これが抜群の開放感とシャープなスタイリングにも貢献。

そこに切削加工が施されたエンケイのホイール、ブロンズ塗装のエンジン、スイングアームマウントのフェンダー等の効果も加わり、車体全体のフォルムをさらに引き締めている。


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◆スロットルとシフトを駆使しながら走りを組み立てるのが楽しい

デビュー以来、基本的に大きな変更なく今に至るわけだが、2023年に排ガス規制への対策が済まされ、この時、最高出力の発生回転数が26ps/9000rpmから26ps/9300rpmへと300rpmアップ。スズキはことさらアピールしていないのだが、環境性能の引き上げと同時に、過渡特性も向上している。

無論、低回転域も犠牲になっていない。路面が登り勾配でなければ、スロットルを動かさなくともクラッチレバーをミートするだけで車体はスルスルと前進する。街中のストップ&ゴーで緊張感やストレスを覚える場面はなく、タイヤが数回転し、3000rpmも超えれば、あとは小気味いいレスポンスでぐんぐん加速していく。


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22Nm(2.2kgf・m)の最大トルクを7300rpmで発生するスペックの通り、7000rpm前後でスロットルレスポンスがひとつのピークを迎える。その領域では右手の動きにエンジン回転数が意のままに追従。そこからわずかに力を加えるだけで、瞬く間に10000rpmから始まるレッドゾーンにタコメーターのバーグラフが飛び込みそうになるのだが、レブリミッターに当てないように、しかし回転数を落としすぎないように、スロットルとシフトペダルを駆使しながら走りを組み立てるのが楽しい。

◆「扱い切れる」は「物足りない」ではない

街中では低回転域の力強さに委ね、ワインディングに入れば高回転域のパンチに任せて、コーナーとコーナーを泳ぐように繋いでいく。こうした走りを常識的な速度域の中で引き出せるところが、このモデルのよさだ。


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サスペンションにもブレーキにも特別なものは装備されていないが、車体の軽さが姿勢コントロールの手の内感と制動力をカバーしている。それでいて、ハンドリングや接地感の多くを左右する前後のタイヤにはラジアルを選択しているあたりに、スポーツライディングに対する意識の高さが伺える。

一般的に「引き出せる」や「扱いきれる」という評価には、「物足りない」という本音も交じっているものだが、ジクサーSF250にそれは当てはまらない。ビギナーを受け入れる優しさと同時に、体と頭をフルに使ってエンジン回転数、ギヤの選択、ライン取りといったひとつひとつの精度を高めていく手練れのライディングも受容。

実に懐の深い一台に仕上がっている。


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■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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