大林組、岩谷産業、コマツの3社は、上信越自動車道の北野牧工事において、水素燃料電池を搭載した中型油圧ショベルの実証実験を実施した。建設現場でのFC(燃料電池)ショベル使用は日本で初めてとなる。
現在、日本国内の建設現場におけるCO2総排出量の約7割が軽油燃料に由来している。CO2排出削減に取り組むうえで、バイオディーゼル燃料の採用や電動式建設機械の導入と併せて、水素を活用した建設機械の導入は有効な手段の一つと考えられている。
コマツは2023年からFCショベルの実証実験を重ね、ディーゼルエンジン駆動式と同等の力強い掘削性能と高い操作性に加え、排気ガスゼロや騒音・振動が低減することを確認している。水素を活用する方式は、バッテリー駆動式と比べてエネルギー密度が高く高出力のメリットがあるため、中型油圧ショベルを使う現場のカーボンニュートラル実現に向けた動力源の選択肢の一つとして活用が期待されている。
今回の実証実験は、東日本高速道路関東支社長野工事事務所の協力のもと実施された。上信越自動車道北野牧工事の現場内でFCショベルによる掘削残土の移動作業と、車載水素タンクへの水素充填の実証実験を行った。
実験の結果、FCショベルが従来のディーゼルエンジン駆動式と同等の作業性能を発揮できることが確認された。さらに、エンジンの振動がないことでオペレーターの疲労を軽減でき、また騒音が抑えられたことにより環境影響の低減や周囲の状況を把握しやすいなどのメリットが確認できた。
一方で、より大容量かつ高速な水素供給・充填の必要性など、実用化に向けた課題についても改めて認識を共有した。加えて、工事の進捗に伴い現場の状況が変化する中、水素充填の法規制を踏まえた水素を活用した建設機械の安全かつ効率的な運用に適した現場条件がより明確になった。
今後、大林組はFCショベルの建設現場への導入に向け、現場内における充填場所の設置基準などの条件を整理するとともに、現場職員および協力会社作業員に対する水素の安全な取り扱いに関する教育と習熟度の向上を進めていく。
岩谷産業は、東京都の助成を受けて開発を進めている、大容量かつ高速充填が可能な液化水素搭載型の移動式水素ステーションの活用を視野に水素ガス供給における課題抽出や対策への取り組みを進めていく。
コマツは、近い将来の水素燃料電池を搭載した中・大型建設機械の量産化の実現に向け、研究開発を進めていく。3社は、水素燃料電池を搭載した建設機械の実用化、関係機関との連携による安全で効率的な水素の運用環境の整備を通じて、建設現場におけるCO2排出量の削減を進め、カーボンニュートラル社会の実現に貢献する。




