ソフトバンクと村田製作所、TSN over 5G接続実証に世界初成功…MWC 2026で成果展示へ

時刻同期評価の構成図
時刻同期評価の構成図全 2 枚

ソフトバンク、村田製作所、CC-Link協会(CLPA)の3社は、高精度な時刻同期を可能にするTSN(Time-Sensitive Networking)を5Gネットワーク上で実現する技術「TSN over 5G」の接続実証に成功したと発表した。

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通信事業者がTSN over 5Gの実証に成功したのは世界初となる。なお、今回の実証の成果は、「MWC 2026」のMurata Electronics Europe B.V.のブースで展示予定だ。

ラボ環境で実施した今回の実証では、3GPPで定義されている誤差900ns以下の要求水準に対し、誤差平均122nsという高精度な時刻同期を5Gネットワーク上で達成した。また、CLPAが認証する産業用イーサネット規格「CC-Link IE TSN」のClass Bの仕様に準拠した産業用機器が、5Gネットワーク上で動作することを確認した。

工場などの製造現場では、高精度な時刻同期によって複数の機器を正確なタイミングで動作させることが不可欠だ。CC-Link IE TSNにおいてもClass Bは高精度な時刻同期による高いリアルタイム性と、ジッター(通信の遅延のばらつき)の低減による確定性が求められることから、有線ネットワークを前提とした運用が行われてきた。

一方で、設備の柔軟なレイアウト変更や保守性の向上といった観点から、産業用ネットワークの無線化への期待は年々高まっている。こうした中、3GPP Rel.16において、高精度な時刻同期を実現するTSNを5Gネットワーク上で実現するための仕様として、TSN over 5Gが標準化された。

今回の実証では、プライベート5G(スタンドアロン構成)を用いて、ラボ内にTSN over 5G環境を構築した。TSN over 5Gで用いられる時刻同期プロトコルであるgPTP(generalized Precision Time Protocol)に基づき、DS-TT(Device-Side TSN Translator)と接続する端末側と、NW-TT(Network-Side TSN Translator)と接続するネットワーク側の機器の間で時刻差を計測した。

また、工場内の設備を想定して、実際の産業用機器を用いたエンド・ツー・エンドの制御環境の検証を実施した。CC-Link IE TSNに対応した入出力制御用ユニット(リモートI/Oユニット)とPLC(制御装置)を5Gネットワーク経由で接続し、PLCからの制御信号がスイッチや表示灯(LED)などの入出力機器へリアルタイムに伝送される構成とした。この検証環境において、機器の制御に求められるCC-Link IE TSNのClass Bの仕様に基づき、1μs(マイクロ秒)以下の精度での時刻同期を保ちつつ、6時間超の連続通信に成功した。

今回の成果は、これまで有線による制御を前提としてきた産業用ネットワークの、無線化に向けた重要な一歩となる。また、AIがロボットや設備と連携し、正確なタイミングで制御することが可能になるため、フィジカルAIの実現に向けた基盤技術としても重要な意味を持つ。

3社は今後、今回の実証で得られた知見を生かし、5Gを活用した新たな産業用途の創出やフィジカルAIの社会実装に向けた取り組みを進めていく。

《森脇稔》

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