3LDKを4LDKに:シャープのLDK+から紐解く「動かないモビリティ戦略」…インタビュー

3LDKを4LDKに:シャープのLDK+から紐解く「動かないモビリティ戦略」…インタビュー
3LDKを4LDKに:シャープのLDK+から紐解く「動かないモビリティ戦略」…インタビュー全 1 枚

シャープは2024年9月に「LDK+」のコンセプトを発表し、翌25年のジャパンモビリティショーでは市販車を意識した第2世代のLDK+コンセプトを発表した。これにより、LDK+戦略の概要がより明らかになってきた。

レスポンスセミナー「止まっている時間”がクルマを変える『シャープ「LDK+」が示す次世代モビリティの正体』」では、ゲスト講師に大津輝章氏(シャープEV事業責任者)、モデレーターとして鈴木万治氏(デンソー技術企画部 CX)を迎えLDK+コンセプトやねらい、市販戦略などが議論される。

本記事では、セミナーの予習としてLDK+の車両はコンセプトとは?シャープが考える戦略とは? について大津氏のインタビューをベースにまとめてみたい。

ベース車両は鴻海のMODEL A

LDK+は2024年にシャープがコンセプトを発表した新しいEVだ。車両ハードウェアは鴻海精密工業が開発したものをベースとする。

鴻海はMIHという次世代モビリティのアライアンスを組織しており、車両ハードウェアから車載ソフトウェア、アプリケーション、OTAやモビリティサービス、フリートサービスのためのクラウドプラットフォームまで含むSDVエコシステムを持っている。

台湾などではすでに鴻海から車両供給を受けたメーカーのEVバス、乗用車が走っている。LDK+はそのうちMODEL Aというミニバンタイプの車両が使われるとされている。

当然だが、シャープは「EVならばファブレスで参入できる」と車両のOEM供給を受けて安易にプロジェクトを始めたわけではない。自社の強みを考えたうえでの戦略だが、その背景事情はどうだったのか。

じつはほとんど動いていない自動車

自動車業界にも長くいた大津氏は、日本のEV普及率が低い、市場が伸びないのはEV固有の特性をだしきれていないからと考えている。そして、一般的な自動車の場合、移動に使う時間は全体の5%で残りの95%は車庫に止まっている。

「止まっている車をもうひとつの部屋(家の一部)と考えたら、シャープの製品技術やノウハウを生かした新しい提案ができるのではないか。動いてない車の価値は、走行性能やデザイン、燃費、ブランドなど既存の価値観では対応していない領域だ。なぜなら、自動車は動いてナンボのもの。止まっている車には残念ながら価値はない、移動のための機能や価値を是として進化してきたからだ。EVによる車両の静粛性や電源・エネルギーとしての可能性は、その車両価値の転換点をも示している。」(大津氏)

確かに車庫や駐車場で止まっている車に価値があるという発想は、自動車メーカーの中にいては浮かばないだろう。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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