フィジカルAIがもたらす変革の本質とは…デンソー 研究開発センター 成迫剛志氏[インタビュー]

フィジカルAIがもたらす変革の本質とは…デンソー 研究開発センター 成迫剛志氏[インタビュー]
フィジカルAIがもたらす変革の本質とは…デンソー 研究開発センター 成迫剛志氏[インタビュー]全 7 枚

来たる4月17日、オンラインセミナー「クルマはフィジカルAIの重要な一要素となる~生成AIの現在地とフィジカルAIの未来図を俯瞰的に考える~」が開催される。セミナーに登壇するのは、株式会社デンソー 研究開発センター シニアアドバイザーであり、岐阜大学客員教授の成迫剛志氏。

生成AIがもたらす本質的な変化と、日本企業が陥りがちな罠。そしてAIがサイバー空間を飛び出し、物理世界と融合するフィジカルAIがもたらす変化を解説する。成迫氏が示す数々の具体的な事例からは、私たちが直面している変化がいかに根源的であるかを示唆するものになるだろう。

講演の後には、本セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表(株式会社デンソー 技術企画部 CX)である鈴木万治氏を交えて、参加者からの質疑応答やディスカッションの時間が用意されている。

セミナーに先立ち、成迫氏に見どころを聞いた。

人類史に並ぶ“汎用技術”となり得る生成AI

生成AIを、単なるチャットボットや要約ツールとして捉えるべきではないと、株式会社デンソー 研究開発センター シニアアドバイザー 岐阜大学客員教授である成迫剛志氏は指摘する。生成AIは人類の有史以来、24個しかない「汎用技術(General Purpose Technology)」(総務省Web)に匹敵するほど重要なものであり、本質的なイノベーションをもたらすものであるからだ。

「汎用技術とは特定の産業分野にとどまらず、人類全体や社会、生活に幅広く大きな影響を与える技術のことです。古くは紀元前9000年の農耕の開始に始まり、印刷機の発明、産業革命、そしてインターネットなどがこれに該当します(総務省 情報通信白書)」

クルマはフィジカルAIの重要な一要素となる~生成AIの現在地とフィジカルAIの未来図を俯瞰的に考える~ セミナー資料

顧客価値創出によるウィナー・テイク・オール

ITRやPwCなどの調査によれば、アメリカの企業が生成AIを顧客価値創出に使おうとしているのに対し、日本の企業は依然としてコスト削減や合理化・業務効率化に注力している傾向が強いという。

「新しいテクノロジーのコストを削減し、効率化することができれば、すぐにビジネス的成果が出せるでしょう。しかし一方で、新たな顧客価値の創出は、初期の段階ではビジネスにはなりにくいかもしれませんが、ひとたびブレイクスルーが起きれば、指数関数的に成長し、あっという間にウィナー・テイク・オールと言う状況になります」

クルマはフィジカルAIの重要な一要素となる~生成AIの現在地とフィジカルAIの未来図を俯瞰的に考える~ セミナー資料

「ソフトバンクの孫正義氏は、1兆円、2兆円といった規模の資金を、生成AIがもたらすコスト削減に対して投資しているのではなく、生成AIがもたらす巨大な顧客価値に対して投資しているのです」

ルールベースの限界とエンドツーエンドAI

サイバー空間で進化を遂げてきた生成AIだが、次なる戦場はリアルの物理世界へと移行しつつある。

成迫氏は、AIをリアルの世界に実装するフィジカルAIの重要性を説く。

「例えば、追加学習やチューニングを一切していない一般的なChatGPTやGeminiに、ドライバー目線の夜道の写真を見せるだけで、ドライバーが取るべきアクションや注意点を的確に指摘してくれます」

クルマはフィジカルAIの重要な一要素となる~生成AIの現在地とフィジカルAIの未来図を俯瞰的に考える~ セミナー資料

「運転席からの風景として、夜道に鹿が写り込んでいる写真を見せると、鹿は群れで行動する習性があるため、1頭だけでなく、再び別の鹿が飛び出してくるリスクに注意すべきだといったことまで判断します。鹿の習性や生態までを、プログラムのルールベースで逐一作り込むことは不可能です」

「画像から状況を読み取り、判断を下すエンドツーエンドのAIを、テスラや中国系の企業はすでに自動運転の仕組みとして実装し始めています。我々も含め、従来の認知・判断・制御というプロセスに固執していた自動車メーカーは、現在一生懸命に巻き返しを図っているところです」

日本語で相談しながら協働するロボットたち

成迫氏は、生成AIの活用によってロボットの動作原理と連携のあり方が変わると語る。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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