カーボンニュートラル燃料:国・業界・プレーヤーで変わる戦略…富士経済 中西凌太氏[インタビュー]

カーボンニュートラル燃料:国・業界・プレーヤーで変わる戦略…富士経済 中西凌太氏[インタビュー]
カーボンニュートラル燃料:国・業界・プレーヤーで変わる戦略…富士経済 中西凌太氏[インタビュー]全 1 枚

レスポンスセミナー「カーボンニュートラル燃料2026~政策・トレンド・普及課題・市場動向~」では、講師にカーボンニュートラル燃料を専門に研究している、株式会社富士経済 モビリティ・ソリューション事業部 第二部 主任 中西凌太氏を迎え、カーボンニュートラル燃料とはなにか?技術および市場動向はどうなっているのかを詳しく解説する。

セミナーに先立ち、中西氏に話を聞くことができた。その内容をベースにカーボンニュートラル燃料の現状とトレンドを整理する。

カーボンニュートラル燃料とは何か

バイオ燃料や合成燃料は、化石燃料のように燃焼させてもカーボンニュートラルが保てる燃料とされている。燃焼でCO2が発生してもバイオマス資源の成長時のCO2の吸収分、また燃料合成時のCO2回収分と相殺され、CO2の排出を下げられる、または実質ゼロにできる理想の燃料とも言われる。日本の製造業は、やがてくる水素社会でゲームチェンジャーとなるという話も聞く。

一方で、水素社会実現のロードマップは2050年からを見据えたものとなっており、まだ20年以上先の話である。現実問題として自動車業界はそこまで水素社会を待つわけにはいかない。セミナーではそのヒントとなる情報がデータとともに解説されるが、本稿では、セミナーの予習を兼ねて、カーボンニュートラル(CN)燃料とはなにか? その技術と市場動向を俯瞰する。

現在CN燃料と呼ばれるものには、次の4つがある。

・合成燃料(e-fuel):水素と工場などから排出されたCO2や空気中から回収するCO2を合成して作られる燃料
・バイオ燃料:植物、藻類・廃食油・廃棄物などを原料とした燃料
・グリーン水素:再生可能エネルギーで水を電気分解した水素(水素は燃焼しても水しか出ない)
・SAF:廃食油やバイオマスから作られたジェット燃料

FCV(燃料電池車)においてはグリーン水素も重要な鍵となるが、いまのところグリーン水素の調達または製造体制の課題が大きい。また量産FCVへ投資できるOEM、サプライヤーは限られる。

SAFはすでに航空業界で採用が進んでいる燃料だ。現状のジェット燃料において、CO2削減に最も効果的とされているのがSAFだからだ。イラン攻撃によるオイルショックにより化石燃料および社会情勢が非常に不透明な状況があるが、各国、各航空会社ともにSAFの利用は拡大すると見られている。

自動車業界が注目する合成燃料とバイオ燃料

自動車業界に直接関係があるのは、合成燃料とバイオ燃料だろう。これらは、カーボンニュートラルが期待できる他、既存の内燃機関や給油インフラを維持できるというメリットがある。

バイオ燃料は、ガソリン代替の「バイオエタノール」、軽油代替の「バイオディーゼル」の他、バイオマス由来の「バイオメタン」「バイオLPG」などもある。これらは、いずれも既存のガソリンや軽油などに混合した形で利用される。この点で、精製技術、生産技術は確立されていると言ってよい。運用・消費についてもインフラは揃っている。エンジンなど燃料に合わせたシール材や油脂・樹脂製品の変更・調整の必要が若干あるが、技術的・経済的な課題は少ない。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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