【シボレー コルベット Z06 新型試乗】ノーマルとは別物、まさに「洗練の極み」…中村孝仁

シボレー コルベット Z06 コンバーチブル 3LZ
シボレー コルベット Z06 コンバーチブル 3LZ全 36 枚

第8世代のシボレー『コルベット』が、初のミッドシップモデルになったことは周知の事実。恐らく同名のスポーツカーとしては、世界最長寿のクルマだと思う。そんなC8が誕生してすでに6年。かつては直線番長などと揶揄された時代も、今は昔。

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今年のルマン24時間でも LMGT3クラスで優勝を遂げた。しかもコルベットにとって、ルマン優勝はこれが初めてのことではなく、実は9回目。もはや常連なのである。今年のルマンは驚くことに、このクラスに9メーカーが乱立し、ある意味もっとも白熱した展開を見せたクラスでもあった。

シボレーを除くブランド名を列記すると、フェラーリ、ポルシェ、マクラーレン、アストンマーチン、BMW 、レクサス、フォード、メルセデスAMGである。これらを相手に勝利したのだから、その実力が如何に高いかはもうお分かりだろう。

◆ノーマルコルベットとはエンジンが違う

シボレー コルベット Z06 コンバーチブル 3LZシボレー コルベット Z06 コンバーチブル 3LZ

そんなコルベットの、日本市場では最強となる「Z06」が、2026年モデルで新しくなった。Z06と呼ばれるモデルは、既存のコルベットとは様相が違う。外観こそ基本的には変わらないが、搭載されているエンジンが違う。

ノーマルモデルのエンジンは、LT2と呼ばれる6.2リットルV8・OHV。未だにOHVを使う。対するZ06のエンジンは、5.5リットルV8ながら、こちらはDOHCであり、OHVのそれとは違い、クランクシャフトはフラットプレーンと呼ばれる、高回転に適したモノが採用されているのだ。

アメリカンV8と言えば、不等間隔で爆発する、独特のドロドロとしたサウンドが魅力であり特徴であったが、こちらはそれとは全く異なる、甲高いサウンドを奏でる。しかもオイル潤滑にはドライサンプが使われる。そして何よりもこのエンジンこそ、今年のルマンで勝利を得たC8・Rと呼ばれるレース仕様車のエンジンと、基本は同じものなのである。

そんなレーシングマシンに共通する心臓を持つZ06は、さすがにパフォーマンスもノーマル車とはかけ離れ、最高出力は646ps(ノーマルは502ps)と異次元だ。ところがそんな異次元のパワーを持つクルマの割には、普通に乗るととても大人しく、快適なことに驚かされる。

◆「Zモード」で豹変する走り

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高速の料金所を後にして思い切り踏んでみても、見事なほどコントロールされたパフォーマンスの出し方をしているので、フルスロットルをかけても、不安に陥るようなことは全くなかった。それどころか、よく制御された加速感は、あれっ?というほどであり、どちらかといえば物足りなさを覚えるほどであるが、これこそ、まさに洗練という言葉がふさわしい。

しかしあくまでもそれはノーマルモードで走った時の話である。実はステアリングにZの文字をあしらったスイッチついていて、これを押すと、通常ならスポーツモード、このクルマの場合はZモードに変身する。そして、このボタンを押すとその本性が現れる。ギアは一段とローギアの位置に留め置かれ、フラットプレーン独特の甲高いエンジンノイズを聞くことになるのだ。

残念ながらこのモードにしてフルスロットルは体験しなかった。しかし、留め置かれたギア比からの加速が尋常ではないだろうことは、容易に想像がついた。因みにトランスミッションは8速DCT。オートマモードで安楽な運転も可能だが、ファン・トゥ・ドライブを求めるなら文句なくマニュアルモードであり、ATモードで乗るのは勿体ないという気分にさせてもくれる。

◆大きく変わったインテリア

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C8のZ06は、実は2024年から日本市場で販売されていた。冒頭新しくなったと書いたが、大きく変わったのはインテリアである。顕著な点としては、新しい3画面インフォテインメント・レイアウトとなったことだろう。

12.7インチのセンターディスプレイ、14インチのデジタルドライバーインフォメーションセンター、それにステアリングホイール右側に配置された、6.6インチのタッチスクリーンという構成である。

そして、従来パッセンジャーとドライバーを隔てる、ダッシュボードから続くスロープに配置されていたエアコンの操作系は、センターディスプレイの下に配置された。従来はなかなか見づらかったレイアウトだったので、エルゴノミクスは遥かに改善されている。

◆まさに洗練の極み

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快適である話も前述したが、サスペンションにはマグネティックセレクティブライドコントロールという、1990年代からGMが開発に力を入れた独特なモノが使われている。これは電磁石とショックアブソーバー内の磁性流体を組み合わせたアクティブダンピングシステムであり、その反応速度は世界最速。

したがって路面状況に応じて常に適切なダンピング性能をもたらしてくれるので、通常走行時では快適で、ひとたび鞭を入れた走りでは高い運動性能を示してくれるというわけである。

さすがにお値段も異次元(試乗車のコンバーチブルは2920万円)になったが、クルマとしての完成度は見事、まさに洗練の極みである。

シボレー コルベット Z06 コンバーチブル 3LZシボレー コルベット Z06 コンバーチブル 3LZ

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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