【アウディ A6 新型試乗】エンジンの存在を感じさせない、ストレスのないクルマ…中村孝仁

アウディ A6 TSFI 200kw
アウディ A6 TSFI 200kw全 35 枚

「アウディ100」と呼ばれた時代から数えると、今回のモデルが9代目となる、新型アウディ『A6』に試乗した。

【詳細画像】アウディ A6 TSFI 200kw

100と呼ばれた時代に遡ると、このクルマこそ、今のアウディのブランドイメージを築き上げたクルマと言って差支えない。2代目のモデルがヒットの先駆けとなったのだが、個人的には3代目のモデルこそ、世界的にアウディの名を浸透させた最大の功績を持つモデルだと思っている。それは何故かというと、空力と言えばアウディというイメージを世界的に植え付けたモデルだったからだ。

そもそも、フラッシュサーフェイスなどという言葉を一般化させたのも、アウディだろう。当時ビックリしたものだが、ドアフレームと窓の段差がほとんどない、つるりとしたデザインを作り上げ、CD値は0.30と、驚異的な値(当時としては)を誇った。登場したのは1982年。1982年と言えば、その2年前にデビューしたアウディ『クワトロ』が、WRCでチャンピオンを獲得した年である。

そして、アウディはクワトロシステムを戦略的な位置づけにして、ラインナップすべてに、この俗に言うスポーツ4WDを展開することとして、3代目のA6(当時はまだ100と呼ばれた)にもクワトロが登場する。つまり最強の空力性能と、最強の駆動性能を持った特徴あるミッドサイズのセダンが誕生した。

この二つの武器をもって、アウディは初めて、メルセデスやBMWと対等の地位を獲得し、ハイエンドブランドとして認定されるようになったのである。

◆過去最もアグレッシブで戦闘的なスタイリング

アウディ A6 TSFI 200kwアウディ A6 TSFI 200kw

A6という名前が登場するのは、4代目アウディ100がマイナーチェンジされた時。ラインナップはそれまでの数字のみの車名から、頭文字Aの後ろにセグメントを現す数字が付くものに変わった。セダンでいえば4がコンパクト、6がミッドサイズ、そして8がフルサイズであった。

9代目のA6も、最強の空力と最強の駆動システムは健在である。最強の空力性能は今やCD値0.23にまで引き下げられた。貢献しているのはボディ下面の整流で、今やレーシングカー顔負けの、ほぼ下面を覆いつくしたフラットなボディ下面を作り出している。

そして最強の駆動システム、クワトロは、本国はいざ知らず、日本では先代からそれのみ。つまりすべてクワトロが導入されている。試乗会の折、プレスブリーフィングではエレガントさを前面に押し出した内容のデザイン説明がされていたが、そのフロントフェイスを見て、個人的には過去最もアグレッシブで戦闘的なスタイリングではないかと思えたものである。

◆エンジンは直4・2リットルのみ、885万円から

アウディ A6 TSFI 200kwアウディ A6 TSFI 200kw

時代の流れだから仕方がないが、かつてはV8まで搭載していたエンジンラインナップは、今回直4のみ。先代まであったV6も姿を消し、全車が4気筒MHEV(マイルドハイブリッド)になっている。その中で今回チョイスした試乗車は、ガソリンエンジンを搭載するモデルである。排気量2リットルのこのエンジンは、VW/アウディで広く使われるコードネームEA888と名付けられたもので、現行はジェネレーション3のもの。エキゾーストマニフォールドをヘッドに一体化させたデザインを持つエンジンである。

車両本体価格は885万円。この価格だと、ライバルのBMW『5シリーズ』や、メルセデス『Eクラス』よりもわずかながら安価なのだが、試乗車の場合は実に312万円ものオプションが載っているから、これを加えると果たして価格的な優位性があるか否かは不明である。

オプションはほぼ、パッケージ化されていて、部分を切り取ってチョイスすることができない。また、一部のものは別なオプションと連動しているという、ややこしい状況だから、結局は全部載せか、全部外ししかチョイスできないようである。今回の試乗車に搭載されたオールホイールステアリングや、アダプティブエアサスペンション、それにスマートパノラマガラスルーフなどは単体オプションのようだから、これはチョイスできそうだ。

◆極めて高いNVH、ストレスのない走り

アウディ A6 TSFI 200kwアウディ A6 TSFI 200kw

とまぁ、説明が長くなったが、いざ乗り出してみると、実に快適である。遮音性も見事で、流れに乗って走らせているような場合は、MHEVとはいえエンジンが主役なのだが、ほとんどその存在を感じさせないレベルに遮音が効いている。路面からの音の遮断も見事。つまりはNVHが極めて高いレベルでまとまっている。

いわゆる4輪操舵のオールホイールステアリングは、同相で2度、逆相で5度切れる。逆位層から同位相への切り替えは、速度が60km/hで切り替わる。5度は結構な角度だから、中低速ではシャープなステアリングの印象のはずだが、試乗会場まで乗っていったクルマが、よりシャープなステアリングを持つクルマだったので、4輪操舵ある無しのクルマで比べてみないとわからないが、少なくとも低速域ではそのサイズを感じさせない動きを示す。

そのサイズだが、全長は先代と比べて50mm延長され、ついに5mの大台に。一方で全幅は逆に10mm削減の1875mmとなった。幅の減少は日本の交通環境では朗報である。高速も少しだけ試してみたが、前述したように安楽極まりなく、ストレスが全くない。これなら長距離移動は安楽そのものだ。先代のV6搭載車で絶品のスムーズネスを味わったが、4気筒MHEVでも、V6同等とは言わないが、十分なスムーズネスが味わえる。

アウディ A6 TSFI 200kwアウディ A6 TSFI 200kw

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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