EMT「日本品質」で世界へ、軽EVから始まるR&D戦略

EMT R&Dセンター(イメージ)
EMT R&Dセンター(イメージ)全 14 枚

EMTは8月31日、横浜市港北区の「EMT R&Dセンター」でメディアセッション&交流会を開催し、新自動車ブランド「EMTA(エムタ)」がめざすブランド像や、車両開発における「R&D Vision」を説明した。

EMTは2027年に第1弾となる軽EVを発売し、その後3年間で計4車種へラインアップを拡充する計画だ。第1弾モデルは中国で生産するいっぽう、商品企画や日本市場への適合、日本品質の作り込みなどを国内で担う。将来は日本で開発・生産する「メイドインジャパン」の実現もめざす。

●横浜のR&Dセンターを開発の中核に

EMTは2025年1月に設立された。2026年5月にEMTAブランドの事業を発表し、7月21日には横浜市港北区に研究開発専用拠点「EMT R&Dセンター」を開所した。

同センターは研究開発機能を集約し、日本の利用者の暮らしや移動、利用環境から得た知見を、製品企画、デザイン、設計、車両評価などへ反映する中核拠点となる。2027年発売予定の第1弾軽EVに加え、その後のモデル開発にも活用する。販売やサービスの現場と開発をつなぎ、利用者の声を商品へ反映する「共創の起点」とする考えだ。

EMTは「全ての人の日常を幸せにする」をパーパスに掲げる。EMTAブランドでは「Daily Magic」を掲げ、日々の暮らしの中で感じられる使いやすさや楽しさを商品やサービスで実現する。

山本CTO

●「KPIはスペックではなく、お客様の笑顔」

EMTの山本浩二CTO(Chief Technical Officer)は、約30年間にわたり日産自動車で車両開発に携わり、初代『リーフ』のプログラムダイレクターとしてグローバル開発を率いた経歴を持つ。

山本CTOはR&Dにおける考え方について、「私たちのKPIはテクノロジーのスペックではなく、お客様の笑顔だ」と説明した。エンジニアが技術や性能そのものを追求するのではなく、それが利用者の価値につながるかを重視する。EMT R&Dセンターは「Daily Magic」を技術によって具体的な商品へ落とし込む拠点と位置付ける。

●「マジックSDV」など4つの基幹技術

EMTAでは「Daily Magic」を実現するため、4つの基幹技術を開発する。中心となるのが、車をスマートフォンのように進化させる「Magic SDV(マジックSDV)」だ。これを「Magic Sync(マジックシンク)」「Magic EV(マジックEV)」「Magic Drive(マジックドライブ)」の3技術が支える。

マジックSDVでは、フルスタックOTAとユーザー体験のデジタル化により、納車後も無償アップデートで機能や操作性を改善する。走行性能や航続距離についても、ソフトウェアによる更新を想定する。

マジックシンクでは、車両とユーザー、スマートフォンを連携させる。スマートフォンを持って車へ近づくことで解錠やシステム起動を行なうほか、シートやミラー、ステアリング、エアコン、画面、走行モードなどをユーザーの設定に自動で切り替える構想だ。

山本CTOによると、画面デザインやスマートフォンアプリ、搭載機能の初期設計は日本側のチームが決定している。第1弾軽EVは中国生産となるものの、日本市場に合わせた使い勝手を盛り込むという。

デザインスケッチ

●軽EV専用プラットフォームを新開発

マジックEVでは、日本向け軽EVのための専用プラットフォームを新たに開発した。複数のユニットを一体化したeAXLEを搭載し、限られた車体寸法の中で居住性や衝突安全性能を確保しながら、床下に大容量バッテリーを配置する。

静粛性や加速性能に加え、日常利用に必要な航続距離と急速充電性能を確保するという。家庭とEVの間で電力をやり取りする機能なども導入する計画だ。

マジックドライブでは、将来モデルにレベル2クラスの運転支援システムや、日本の道路環境を想定した自動駐車技術を搭載する予定だ。狭い路地や駐車スペースなど、日本特有の環境での使いやすさを追求する。

EMT R&Dセンターでは、こうした技術開発に加え、商品企画、競合車のベンチマーク、日本市場に適合させる設計仕様の決定、国内での適合試験、法規対応や型式認証などを担う。第1弾となる2027年発売予定の軽商用EVについては、2026年9月から日本国内で適合試験を本格化する。

《高木啓》

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