東京海上ダイレクト損害保険は、9月1日に施行される生活道路の法定速度引き下げについて、契約者を対象に実施した「生活道路の法定速度引き下げに関する意識調査」の結果を発表した。
改正道路交通法施行令の施行により、生活道路における自動車の法定速度は、これまでの60km/hから30km/hに引き下げられる。ここでいう生活道路とは、主に地域住民の日常生活に利用される、中央線などがない道路を指す。
●どの道路が対象かわからない
調査は7月22~26日、東京海上ダイレクトの契約者を対象にインターネットで実施し、1973件の回答を得た。
法改正を「知っている」と答えた人は約4割にとどまった。「まったく知らない」または「詳しい内容までは知らない」と回答した人は約6割で、施行直前でも十分に認知されていない実態が明らかになった。
法改正を守って運転するうえでの不安では、「どの道路が対象かわからない」が最も多かった。このほか「法令の認識の差による車間のトラブルが起こる可能性がある」との回答も多かった。
生活道路を運転中に経験したヒヤリハットでは、「自転車の進路変更」が65%で最多だった。「車との出会い頭」が49%、「歩行者の横断」が45%、「子どもの飛び出し」が40%と続いた。また、小学生くらいの子どもが歩いている場面で、事故に「非常に不安」または「やや不安」を感じる人は約9割に達した。
生活道路で危険だと感じる場面としては、「歩きスマホで車に気づいていない歩行者」「路上駐車を避ける際の駐車車両や自転車との接触」「住宅街の見通しの悪い交差点」などの声が寄せられた。
生活道路で経験したヒヤリハット(イメージ)
●「生活道路」はどう見分ける?
では、9月1日から法定速度30km/hとなる「生活道路」は、どのように見分ければよいのか。警察庁は、法定速度が60km/hから30km/hに引き下げられる道路を「主に地域住民の日常生活に利用されるような、中央線等がない道路(=生活道路)」と説明している。
ただし、単に「住宅街にある道路」「道幅が狭い道路」だから30km/hになるわけではない。実際の区別では、最高速度の標識・標示や、中央線、車両通行帯、中央分離帯などの有無がポイントになる。
まず確認したいのが、最高速度を指定する道路標識や道路標示だ。「30」「40」「50」などと最高速度が指定されている場合は、今回変更される法定速度ではなく、表示された速度が最高速度となる。
例えば、法定速度が30km/hとなるような生活道路でも「40」の最高速度標識があれば、最高速度は40km/hだ。反対に法定速度60km/hになりそうな道路でも、「30」の標識があれば最高速度は30km/hとなる。東京海上ダイレクトの調査資料でも、「道路標識又は道路標示により最高速度が指定されている道路では、その速度が最高速度となる」と注意を促している。
生活道路の例●中央線があれば原則60km/h
最高速度の標識・標示がない場合は、道路の構造が判断材料になる。
9月1日以降も法定速度60km/hが維持されるのは、道路標識や道路標示による「中央線」または「車両通行帯」が設けられている一般道路だ。また、中央分離帯や柵などによって、自動車の通行が往復の方向別に分けられている一般道路も60km/hのままとなる。自動車専用道路なども今回の30km/hへの引き下げ対象ではない。
これらに該当しない一般道路の法定速度が30km/hとなる。
そのため、ドライバーが一般道路で判断する際には、まず最高速度の標識・標示を確認し、それがなければ中央線や車両通行帯、中央分離帯などの有無を見ると区別しやすい。
例えば、住宅街を通る道路でも中央線があれば、速度標識などによる指定がない場合の法定速度は60km/hだ。いっぽう、中央線も車両通行帯もなく、中央分離帯などで往復方向が分離されていない一般道路では、最高速度の指定がなければ30km/hとなる。
「生活道路」はどう見分ける?●「住宅街の道路すべて」ではない
注意したいのは、「生活道路=住宅街の道路すべて」ではないことだ。
今回の改正では、道路が住宅地にあるかどうかではなく、中央線や車両通行帯などの道路構造が法定速度を決める要素となる。警察庁は改正に向けた通達でも、中央線や車両通行帯の有無が法定速度を決める要素の1つになるとして、摩耗などで見えにくくなった中央線等を必要に応じて補修するよう求めている。
国土交通省も、中央線、中央分離帯、中央を分離する工作物などがなく、複数車線が設けられていない道路の法定速度を30km/hとし、それ以外は60km/hを維持すると整理している。
したがって、9月1日以降の一般道路では、「速度標識・標示があればその速度」「速度指定がなければ中央線などを確認」という順序で見ると判断しやすい。
今回の東京海上ダイレクトの調査では、改正を守って運転するうえで「どの道路が対象かわからない」との不安が最も多かった。法定速度の変更そのものに加え、対象道路をどう見分けるかの理解もドライバーに求められる。




