【F1アメリカGP 詳細】ハッキネンを生殺しにしたのは優柔不断なロン!

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【F1アメリカGP 詳細】ハッキネンを生殺しにしたのは優柔不断なロン!
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アメリカGPはミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が2連勝を飾り、ミカ・ハッキネン(マクラーレン)は、エンジントラブルでリタイアという結果に終わった。これで、シューマッハ&フェラーリはチャンピオン争いに王手。アメリカGPを終わった時点で、ドライバーズチャンピオンはシューマッハ88ポイント、ハッキネン80ポイントで8ポイント差である。

単純に残り2戦をシュミレートすると、ハッキネンが2連勝したとしても、シューマッハが2つのグランプリで2位に入れば、100ポイントで同点。しかし、優勝回数(シューマッハ7回、ハッキネン6回)で、シューマッハのチャンピオンが決定するという状況である。つまりシューマッハから見れば、鈴鹿で優勝すれば文句なしでチャンピオン獲得だし、シューマッハが2位、ハッキネンが3位以下(つまり2ポイント差以上)の状況でもチャンピオン決定という圧倒的に有利な立場に立ったことになる。またコンストラクターズポイントは、現在フェラーリが143ポイント、マクラーレンが133ポイントで10ポイント差。こちらはまだ逆転の可能性が充分に残っているが、F1はあくまでF1世界「選手権」であることをお忘れなく。

さて、残り2戦でマクラーレンがなすべきことはいったい何? それはデビッド・クルサードがハッキネンのサポート役として完全にナンバー2として戦う姿勢を見せ、チームの力をハッキネンに力を集中すること……なのだが、もうすでに手遅れかもしれない。それがハッキリとわかったのはアメリカGPの予選と決勝でのクルサードの走りだ。確かに予選でマクラーレンは素晴らしいチームプレーを見せた。エンジン全開23秒以上というインディアナポリスのオーバルコースをチームメートのスリップストリームを使ってコンマ1秒以上タイムを縮める戦術を見せた。しかし、本来ならばあの方法はハッキネンがクルサードを先導車として使う技だったし(まあ、ハッキネンの周回数は残っていなかったが……)、決勝レースでフライングを犯すようではまったく意味がない。

しかも問題なのは、フライングスタート後に一度シューマッハを引き離したクルサードが、10秒ペナルティ審議中に急にペースを落とした走りをしたことだ。それはハッキネンとシューマッハとの差が開いていたので、ピットインする前にペースを落としてシューマッハとハッキネンの差を詰めさせるチームオーダーだったことは明白だが、明らかにペースを落とし過ぎだったし、少しブロックがあからさま過ぎた。レース後、シューマッハーにも「気持ちはわかるが、あれはいかがなものか」と不快感をあらわにされていた。

しかし、クルサードがああした中途半端な走りをしたのも、チーム内での優先権を明確にできなかった事に遠因があると言えるだろう。最初から「ハッキネン絶対優先」と決定していれば、クルサードはフライングとは言え、スタートでシューマッハの前に出た最初のラップからずっとペースを押さえておくべきだった。そうすれば、燃料搭載量が少なかったハッキネンがレース序盤でシューマッハを捕まえることも可能だっただろう。だが優先権をハッキリさせなかった故に、クルサードは自らのミスを取り戻そうと、全力で2位以下を引きはなそうとしたのだ。チグハグな印象は拭えないというのが素直な印象だ。

とにかく、今シーズンのマクラーレンは、最初からナンバー1をハッキリさせなかった為に王者になれる可能性を自ら閉ざしたのだと言いたい。じつは、ハッキネンは10ポイントほど損をしている。もし、フェラーリ追撃に入ったシーズン中盤までにナンバー1体制をハッキリさせていれば、クルサードが勝利した内の1勝はハッキネンのものになっていたはず。「そんな、チームメートの勝利を奪うなんて……」と、感じる人もいるだろう。だが、チャンピオンシップ争いとはそういうものだし、そこまで徹底しなければ勝ち得ない頂点のモータースポーツであることを忘れてはならない。チームからの無線で急にサポート役に回っても、結局は付け焼き刃のサポートしかできないという事なのだ。

残り2戦、ロン・デニスがいったい2人をどう扱うか……そこに注目である。最後まで諦めずにハッキネンに逆転チャンピオンの可能性を見いだすのであれば、ハッキネン/クルサードの順列による2戦連続1・2フィニッシュを決める以外にもう手段はないのだから……。

《編集部》

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