安いだけでは客は集まってくれない---高速バスの値下げ作戦、全く効果なし

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中央自動車道を使い、新宿−甲府間を走る高速バスを運行する3事業者(京王バス、山梨交通バス、富士急行バス)は、2月15日から3月15日までの期間限定で運行した「1000円バス」の利用状況を発表した。

これは同区間で競合しているJR東日本の特急「かいじ」号に対抗するため、運賃に関する市場調査も兼ねて行われていたものだ。これまでJRの特急には平均車齢25年という古いタイプの車両が使われてきたが、3月23日のダイヤ改正以後には新型車両が投入されることが決まった。

通常、この区間の高速バスの運賃は1950円で、割引きっぷを使ったJRの運賃2250円とはバランス良く競合できていた。しかし、JRは新型車両の快適性と定時運行性を強くアピール。このことに危機感を持ったバス会社が一時的に半額まで運賃を下げることで、どのくらいの集客率アップにつながるかをテストすることになった。

好評であれば半額とはいかないまでも、これまでよりも安い運賃設定に見直すことも辞さない覚悟だったという。実際、休日に関してだけを見るなら、利用率は103%増となり、ほぼ2倍に達した。最も多かったのが都心へ買い物にでかける20歳代前半より下の層で、カネは無いけどヒマはあるという、若者の特徴にピッタリと合致した。

しかし、その半面で平日の利用は伸びがなかった。1000円の運賃を維持するためには、40人乗りを満席にしないと採算割れしてしまうが、値上げ以前より1便あたり10人程度の乗客増があったのみだった。1950円の運賃なら20人乗車で3万9000円の売り上げがあったが、1000円の運賃では30人乗っても3万円の売り上げしかない。通常運賃20人分のペースとするには、やはり39人以上の乗客に利用してもらうしかない。

平日に新宿−甲府間を利用する乗客はビジネス目的が大半のため、少々運賃が高くなったとしても、定時運行性を求めるユーザーが多い。道路事情に所要時間が左右されやすい高速バスはこの点では全く勝負にならないというわけだ。

3事業者では今回得たデータを基に、JRのダイヤ改正以後の乗客変動を見極めながら、再度運賃の設定を見直していく方針だという。

《石田真一》

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