KS このクルマ単体で見ると、クルマとしては良くできています。ウッドと革の内装などジャガーの雰囲気があります。
S そう、このクルマの最大のウリはジャガーであること、大きくなくても、高くなくても、どこからみてもジャガーというところ。
KS 丸目4灯のヘッドライトとか、フルーテッド・ラインと呼ばれるボンネットのキャラクターラインとか。じっさいのサイズよりも大きなクルマに見える。
F インテリアにかんしても、分かりやすいイギリスの雰囲気が漂っている。イギリスでは、このクラスのクルマはカンパニーカーとしての需要もあるのだろうけど、BMWやアウディでは「ビジネス」が強すぎるところを、ジャガーでは「プライベート」があって落ち着く気がするしね。
KS 僕がちょっと残念だったのは、乗り心地がいわゆる「猫アシ」じゃなかったことですね。XJに乗ったあとだとはっきりわかります。まあXJの乗り味自体、古くさいフィーリングではありますが。
S 確かに4WDを採用しているXタイプとXJでは、まったく比較にならないね。
F たとえばBMWなら7シリーズでも3シリーズでもテイストは同じ。でもそれだけに、すべてにおいて古い印象は否めない。どうしたっていままでの「BMWの伝統」から大きく外れることはできない。ジャガーはその点、フォードとの共同作業で新しい商品へのアプローチを始めていると思う。それはSタイプ、Xタイプというように、新しいネーミングからも分かる。
KS しかも、フォードのエンジニアがジャガーの乗り味を作ったのではなくて、ジャガーのエンジニアがモンデオを材料に作ったのも事実です。日本からみるイギリスは伝統的なよさばかりが目立ちますが、ジャガーというブランドは新しい価値観を取り入れようとしているのかもしれませんね。そのキーワードが「4WD」なのでしょう。
S こうしてみると、絶対的に確立されたXJの存在は特別なんだと思うね。Xタイプは、その大きな存在をボトムラインで支えるのは大変だろう。保守的なジャガーファンは、いつもXJと比較するだろうからね。
座談会メンバー
S:陶山拓(まとめ)
KS:佐藤耕一(auto-ASCII)
F:藤田耕治(auto-ASCII)
取材協力:JAIA輸入車試乗会