西日本鉄道(西鉄バス)は27日、同社と同社の子会社が運行するバス路線のうち、激しい赤字を生み出している17路線について、これを来年4月までに廃止する方針を示した。また、グループの観光バス会社で社員を全員解雇し、新たな給与システム受け入れを条件に再雇用するという方針も示している。
西鉄バスは福岡県を中心に路線バスを運行しており、その子会社は熊本、佐賀、大分などの隣県にも路線を延ばしている。鉄道網でカバーできる「線」ではなく、その間にある「面」を埋めるようにバス路線を配置しており、それが福岡を「バス天国」と言わしめる所以になっているが、それだけに赤字路線も多く、これが収益を圧迫していると言われてきた。西鉄では全額出資の地域子会社を作り、本社直轄路線よりも低い賃金体系で運転手を雇用し、これら赤字路線の運行を続けてきたが、一部はそれをもってしても支えられなくなったため、今回の廃止を決断したという。
廃止が予定される路線は17で、地元自治体からの財政的支援が得られた場合には、運行継続を考慮するという。ただ、これら路線の1便あたり平均乗車率は5人程度であり、仮に補助金が得られたとしても、赤字分を完全に埋めることはできず、運行を朝夕の通勤通学時間帯に集約するなどの減便対策を行う必要はあるだろうとしている。
また、社員の平均年齢が高くなり、年功序列型の給与体系が会社経営の圧迫材料となっていた観光子会社の北九州観光バスについては、全社員を3月31日付けで解雇し、職能給を中心とした新しい給与体系(従来比で20〜25%減)を受け入れることを条件に全員を再雇用するという。この給与体系の変更により、生じている赤字幅の減少が可能となる見込みで、今回の実施が成功した場合、これを他の子会社に拡大することも視野に入れているという。
これまで利用客の利便性を考え、積極的に路線拡大を進めてきた同社だが、歯止めの効かない利用客減少に対処するためには、こういった強攻策も止むを得ないということなのだろうか。ちなみに今回廃止予定となった路線の総距離は234kmだが、これは同社とその子会社が運行する路線のわずか1.5%でしかないとされる。この1.5%がその数倍もの赤字比率を生み出しているのだから、ある意味では仕方ないのかもしれないが。