ガソリンスタンド従業員の責任は重い? 福島で注目の裁判がスタート

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灯油と誤ってガソリンを販売し、それを使用したストーブが爆発的に炎上する火災を起こして3人が焼死した事故で、業務上失火と業務上過失致死の罪に問われた26歳のガソリンスタンドの従業員に対する初公判が15日、福島地裁いわき支部で行われた。従業員は起訴事実を全面的に否認している。

この事故は2001年3月20日に起きた。福島県いわき市の塗装店で使用していたストーブが爆発的に炎上し、同じ建物の2階にあるバレエ教室にいた親子3人が逃げ遅れて焼死したというもの。警察では灯油を買いに来た塗装店従業員に対し、誤ってガソリンを販売した従業員の責任も重いとして、同年12月に業務上失火と業務上過失致死容疑で逮捕していた。

15日の初公判で検察側は、「塗装店従業員が灯油用ポリタンクを持参したにも関わらず、この従業員は“ガソリンを買いに来た”と一方的に思い込み、本来は灯油用タンクにガソリンを入れることを法令違反と知りながら、それでもガソリンを給油して販売したことは十分な過失」として提示。客からオーダーを取らず、本来ガソリンを入れてはいけないタンクに給油するという、二つの過失が重大な事故につながったと冒頭陳述で指摘した。

対する弁護側は「灯油用ポリタンクにガソリンを給油したこと自体は消防法違反だが、塗装店の従業員もストーブのタンクに給油しようとした際、いつもと匂いが違うことに気がついていた。火災が起きた直後、保管していた大量の塗料に延焼したために被害は拡大したとも考えられる。火災はこうした複合的要素が複雑に絡み合った結果であり、販売者に一方的な責任を問うことはできない」と反論。次回改めて長時間の陳述を行うことを申請している。

地下の保存タンクへの給油を誤り、ガソリンスタンドの従業員が気づかない状態で灯油とガソリンを誤って販売した結果、火災に至るケースは珍しくない。しかし今回のケースは、スタンドの従業員が客の意思を確認せず販売、しかも本来はガソリンを入れてはいけない容器に給油するという、従業員側の過失が大きいことも事実だ。今後この裁判がどう進展していくのか興味深い。

《石田真一》

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